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研究科長あいさつ

求む!「学際」を目指し、「いま」と向き合う者

情報コミュニケーション研究科長 根橋 玲子



情報コミュニケーション研究科は、現代社会の課題を「情報コミュニケーション」の視点から取り組む場です。これらの課題に対処し、未来を拓くための知識と専門性を大学院生に身につけてもらう場を提供することが私たちの使命です。

私の専門は異文化コミュニケーション論です。中でも文化背景の異なる人々が共に暮らす社会、多文化共生社会に関する研究を行っています。
多文化共生を例に本研究科でどのように研究できるのか考えてみましょう。

日本には多くの外国人が暮らしています。留学に来る者や働きに来る者、難民申請をしている者などさまざまです。仮に「日本に長く暮らす移民第2世代の教育」を研究するとしましょう。
移民を取り巻く制度的な枠組みを考える際には法的な知識が必要です。
どのような法律が彼/彼女らの滞在に影響を与えるのか、自由な教育の選択を阻んでいるのか等、興味関心によって参照すべき法律は異なります。

また、外国人の言語の使用面に課題がある場合、言語学や日本語教育、マイノリティの排除と包摂については、社会学や社会心理学からのアプローチも有用です。
移民第2世代が親の移動に伴い来日したという点では家族社会学の視点からも諸問題を捉えられます。
メディアでどのように彼/彼女らが表象されているのかをメディア論の視点からも捉えられます。
2世代の教育と親の経済活動は切っても切り離せません。
母国の親族や日本での同郷のネットワークが第2世代に与える影響も大きいと言われています。

このように「日本に長く暮らす移民第2世代の教育」というテーマをひとつ取り上げても、さまざまな視点から取り組むことができます。
本研究科では、学問体系のどこか一側面から見るのではなく、領域を横断して、つまり学際的に現代社会の課題に取り組むことが可能です。

ディプロマポリシーが求める力を身につけるために、本研究科のカリキュラムでは「学際空間」を提供し、学際的な力を涵養する機会を用意しています。
具体的には、
1)多様な専門領域の講義科目の提供
2)指導教員および専門領域を超えた教員からのフィードバック
3)豊富な学びの企画
3点が挙げられます。

そして、
1)専門領域の異なる講義を履修することで、(2)さまざまなフィードバックを得られます。修士や博士論文の中間発表会でも同様です。(3)外部講師を招聘して実施する「特別講義」や「研究科フォーラム」、研究室を跨いだ学際的な「共同研究プロジェクト」などにより、さまざまなかたちでの専門分野間のインタラクションが生まれます。
また、さまざまな分野で活躍する本研究科修了生と語る場や副指導教員制度なども用意されています。

指導教員との演習や講義授業のみならず、他の院生や教員とのインタラクションを通じ、大学院生には自ら設定した現代の複雑な課題について、学際的に把握し、有効な学問的・政策的ポートフォリオを案出できるように指導していきます。

明治大学大学院