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政治経済学部

【政治経済学部】倉地真太郎ゼミナールがイベント「デンマークのイノベーティブな社会 ~若者団体代表と研究者が語る~」を共催しました

2024年08月05日
明治大学 政治経済学部事務室

基調講演に登壇しているフレデリック・ダーラー氏基調講演に登壇しているフレデリック・ダーラー氏

討論をするフレデリック氏、能條氏、浅井氏、菅沼氏、倉地氏討論をするフレデリック氏、能條氏、浅井氏、菅沼氏、倉地氏

 2024年7月18日(木)、明治大学駿河台キャンパスグローバルフロントで、政治経済学部倉地真太郎研究室とNO YOUTH NO JAPANの共催で公開セミナー「デンマークのイノベーティブな社会 ~若者団体代表と研究者が語る~」を開催しました。デンマークはグリーン経済、社会保障、ジェンダーの分野において先進的でイノベーティブな取り組みを行っており、世界中から注目されてきました。本イベントでは、イノベーティブなデンマーク社会の「今」をより知るため、若者政治団体の代表と北欧・デンマークをフィールドとする研究者が議論を交わしました。

 倉地氏の開会挨拶の後、NO YOUTH NO JAPAN代表の能條桃子氏によるプレゼンが行われ、団体の概要紹介と活動経緯について、自身のデンマーク留学の実体験を交えて紹介がありました。能條氏は留学中、デンマークにおける若者の政治関心の高さや女性政治家の多さを実感し、帰国後にNO YOUTH NO JAPANを立ち上げました。現在は若者の政治参加の促進や政治における男女平等の推進に向け、SNSでの政治・社会問題の発信や主権者教育の改善、立候補年齢引き下げのためのプロジェクトなどに取り組んでいます。

 続いて、デンマーク国内で注目を集める左派連合青年部元代表のFrederik Dahler氏(フレデリック・ダーラー)によるプレゼンが行われました。Frederik氏からは、学生時代からの活動、デンマークの政治・政党、福祉国家とイノベーションの関係、メンタルヘルス支援の重要性、学生への給付型奨学金やギャップイヤーといった若者支援の重要性についてお話いただきました。デンマークの若者の政治参加が進んでいる背景には、模擬選挙など学校内での「練習」、小さな成果の「積み重ね」、批判し主張する権利が保障されている仕組みがありました。Frederik氏と年代の近い学生の多くが、彼の講演に刺激を受けている姿もみられました。

 セミナー後半では、デンマークの社会保障を専門とする菅沼隆氏(立教大学)と北欧のジェンダー・社会保障を専門とする浅井亜希氏(東海大学)がコメンテーターとして登壇し、日本とデンマークの両国が直面する課題と今後の方向性について議論を行いました。
 菅沼氏は、日本での「新しい資本主義」との比較の視点からデンマークのイノベーティブな福祉国家の特徴を説明し、“イノベーション”と“イノベーティブ”の概念の違い、若者の活躍と社会変革の重要性などの観点から説明がありました。
 浅井氏からは、デンマークのジェンダー平等の現状についてお話いただきました。意外なことにデンマークは他の北欧諸国よりもジェンダーギャップ指数ランキングが高くないのはなぜなのか。他の北欧諸国や日本との比較を交えながら、デンマークのジェンダー平等への取り組みの特徴として、制度化されないアプローチ方法や普遍的人権の一つとしての捉え方があるという点が述べられました。また、北欧諸国と日本の間で、若者の「生き方」の違い(「何者」になる/ならなければならない時期やイベントの違いなど)があるという指摘も印象的でした。

 その後、能條氏、Frederik氏、菅沼氏、浅井氏によるパネルディスカッションが行われました。4名は日本の現状と比較しながら、デンマークにおけるフェミニズムの捉え方の変遷、排外主義の動向、若者の生き方と社会の期待の違いなどについて議論を交わしました。菅沼氏からは若者こそがイノベーションの源泉である点が強調されました。ディスカッションの終わりには、政治への無関心層への対応、被選挙年齢引き下げといった課題に対して、デンマークや他国の事例から学ぶことの重要性が共有されました。

 セミナーに参加した倉地真太郎ゼミナールの臼澤桜子さんは「教育や福祉が充実していて若者や女性の政治参加が積極的なデンマークでも、他の北欧諸国に比べればジェンダーギャップ指数が低いというのが驚きでした。我々学生と年齢の近いお二人のご活躍を拝見し、自分も当事者意識を持って政治や社会問題に向き合いたいと思いました。」と述べました。
 
 今回のイベントを通して、メンタルヘルス支援、若者支援、若者が政治に参加しやすい社会の仕組みについて理解を深めることができ、北欧・デンマーク研究に新しい視点を得ることができました。また、明治大学の学生にとっては国際交流の貴重な経験となりました。今後も明治大学で北欧社会の「今」を知る研究・教育イベントを開催していく予定です。