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| 職格 | 准教授 |
|---|---|
| 学位 | 博士(社会情報学) |
| 最終学歴 | 東京大学大学院 |
| 研究業績等 | 教員データベース |
| 専攻分野(研究分野) | 災害社会学、災害情報論 |
| 大学院研究指導担当 | 博士前期 ○ 博士後期 − |
防災・減災、災害復興、災害情報、記憶と継承
レジリエンス、緊急コミュニティ組織、想起の場、責任、絆、多重被災
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【指導教員の研究概要】
災害研究は自然科学と人文・社会科学双方の知識が必要な学際領域であり、普段、我々が目をそらしがちな社会の脆弱性と正面から向き合う研究領域です。災害は長期的な社会過程を描くといわれ、その局面は簡単に整理するだけでも事前対策、避難行動、避難生活、復旧・復興、記憶と継承などさまざまなものがありますが、私は主として社会学の視点から、避難行動、復旧・復興、記憶と継承など発災後の社会に焦点を当てた研究を行ってきました。近年では、ある災害の被害から回復しないままに次の災害で被害を受けてしまうという多重被災の問題について、それが被災者の方々にどのような影響を及ぼすのかということも新たに研究テーマとしています。手法としては量的調査も実施はしていますが、基本的には質的調査を中心としています。
【外国語能力について】
近年ではAIを用いた翻訳アプリケーションも発達していますので、語学については大学院入試に合格できる程度の基本的な能力が備わっていれば十分です。とはいえアプリケーション任せでは困りますので、たとえば翻訳結果が正しいものであるかを判別し、自身の示したい内容にあわせて単語や表現を修正できる程度の能力は必要になります。
【その他に求められる能力】
研究を行う際には社会調査に関する知識や技術が必要となることが多いため、これらについて基本的な理解を済ませていることが望ましいかと思います。ただし、ご自身の研究によって求められる知識や技術も異なりますので、入学後には状況に応じて専門的な知識・技術の習得が必要となります。より重要なことは、みずからの学問領域にとどまらず様々な領域の知識を積極的に習得しようとする姿勢です。述べた通り災害研究は学際領域ですので、たとえば地震や津波のメカニズムをまったく知らないまま、社会における地震や津波の影響を語るということはできません。同時に、社会における災害の履歴やその対応の過程といった事柄をまったく知らないまま、地震や津波のメカニズムだけを論じていても、社会にとって有効な防災・減災を考えることはできません。当研究室では所属学生の皆さんに対して、災害という複雑な出来事を理解するために、自身の専門領域に留まらず学び続ける姿勢をなにより求めています。
【大学院進学準備に向けたアドバイス】
国内外を通じて自然災害を体系的に教える大学は限られているため、進学を希望される多くの方にとっては災害研究の実態というものはなかなか分かりづらいものかと思います。とはいえ、東日本大震災の発生以降、災害研究に関する専門書は急激に数を増しており、事前学習がしやすい環境が整いつつあります。たとえば『災害復興学事典(朝倉書店)』『災害情報学事典(朝倉書店)』などの事典、『Handbook of Disaster Research(Springer)』などのハンドブック、『シリーズ災害と社会(東信堂)』『シリーズ被災地から未来を考える(有斐閣)』『シリーズ災害対応の地域研究(京都大学学術出版会)』などのシリーズ本がすでに出版されており、これらを通読するだけでも災害研究の現在地を知る手掛かりになるかと思います。
(著書)
日本災害復興学会(編)(2023)『災害復興学事典』朝倉書店(分担執筆1-5「被災者の『生』の成立」/5-1「体験継承の主体」)
小林秀行(2020)『初動期大規模災害復興の実証的研究』東信堂
(論文)
小林秀行(2023)「災害における『想起の場』-戦争の記憶・継承研究を手がかりとして-」『災害情報』21(2),pp.121-132
小林秀行(2023)「災害から『癒える』空間としての『想起の場』」『災害復興学会論文集』22号,pp,1-12
小林秀行(2023)「不可視化される『助』行為の被傷性-『絆』と『共助』を手掛かりとして-」『災害情報』21(1),pp. 23-34
小林秀行(2022)「『祭り』としての東日本大震災-非被災地の『絆』言説にみる災害の消費と忘却-」『災害情報』20(2),pp.263-274
小林秀行(2022)「自然災害をめぐる『責任』の行方」『災害情報』20(1),pp. 21-32
小林秀行(2022) 「『災害大国』の誕生と変容」『災害情報』20(1) ,pp.9-20
小林秀行(2020)「『象徴化された復興像』に関する研究 —被災住民が災害復興の政治的な主体となるための道具立てを視点として—」『日本災害復興学会論文集』16号,pp.1-13
小林秀行(2020)「『災害復興』の含意をめぐる一考察」『日本災害復興学会論文集』15号,pp.159-168