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政治経済学部

盛本圭一准教授の科学研究費研究課題の成果に基づく記事「租税回避と租税競争 法人税率低下をどう見るか」が経済専門誌・週刊東洋経済に掲載されました

2022年04月22日
明治大学 政治経済学部事務室

盛本圭一准教授の科学研究費研究課題の成果に基づく記事「租税回避と租税競争 法人税率低下をどう見るか」が経済専門誌・週刊東洋経済に掲載されました。

この記事は、国際的に繰り広げられる法人税率の引き下げ競争について分析した盛本准教授の最新論文に基づき、2021年10月に形成された国際課税に関する歴史的合意(共通最低税率15%の導入)について論じています。

現代のグローバル化した経済では、人や資金に加えて情報も国境を越えて移動しますが、このような環境下で国際企業は低税率など好ましいビジネス環境を求めて柔軟な立地選択をするため、企業誘致による経済成長を意図した法人税率の引き下げ競争が起きています。これは国際企業の租税回避と批判されており、歴史的合意はその動きに制約を入れるものです。

しかし、既存の経済学研究では、現代的な経済環境で起こる法人税租税競争の帰結および競争制限的な規制の評価について、フォーマルな理論モデルで検討されてきませんでした。今回の研究ではこの問題に取り組み、法人税租税競争による損失について理論分析しています。

記事では、「情報の伝播が持つ中和効果により、理想的環境下では、法人税租税競争は世界的な経済厚生を低下させない」という論文の主要な結果について述べ、それが必ずしも当てはまらない現実的状況の対応についても説明されています。また、法人税のマクロ経済分析に関する他の研究事例も紹介され、今後も現実的要請に基づく学術研究が求められると強調されています。

記事掲載誌は、下記の通りです。
週刊東洋経済 第7047号(2022/4/23号)p.88-89 経済学者が読み解く現代社会のリアル「租税回避と租税競争 法人税率低下をどう見るか」

元になった論文につきましては、 下記のページをご覧ください。
Maebayashi, N., and K. Morimoto, “Global corporate income tax competition, knowledge spillover, and growth,” MPRA Paper 112790.

研究遂行の補助を受けた科学研究費補助金の研究課題については、下記のページをご覧ください。
科学研究費補助金(基盤研究(C))「法人税の租税競争に関するマクロ経済分析」(課題番号21K01450)2021年度—2023年度、研究代表者・盛本圭一