経営学部

フィールドスタディ C(大分県別府市,佐伯市:中澤先生)実施報告

2019年03月31日
明治大学 経営学部事務室

佐伯市役所にて佐伯市役所にて

城山から豊後水道を望む城山から豊後水道を望む

城山での記念写真城山での記念写真

テーマ  :地方都市の現場—別府市・佐伯市編
実習期間:2018年8月1日(水)~8月4日(土)
実習先 :大分県別府市,佐伯市

目的(実習のねらい):
別府市でのテーマ:「地方都市のグローバル化」
 別府市は,立命館アジア太平洋大学(APU)が立地したことにより,多様なバックグラウンドをもつ多数の留学生が暮らす街となっている。また,古くから温泉観光地として知られた別府市は,今日ではインバウンド観光の誘致に力を入れている。こうして地方都市でありながら,グローバル化の洗礼を受けた別府市において,大学や市役所,地域社会はどのような対応をしているのであろうか。それを通じて,多文化共生社会とは何かについて考えてみたい。
佐伯市でのテーマ:「自らなりわいを創る」
 「田舎暮らしは魅力的だが,仕事はどうする?」と考えるとき,どうしても「雇われて働く」という選択肢にとらわれがちである。しかし,佐伯市のような地方小都市でも,雇われるのではなく,自らなりわいを創り出すことで,日々自分らしく暮らしている人々が現れ始めている。そういう人たちのバイタリティ溢れる生きざまに接することで,オルタナティブな生活の可能性について考えてみたい。

実習報告:
8月1日(水)
大分空港に集合し, 10時過ぎに空港バスで出発,11時頃別府に到着.
各自食事,中心商店街見学
13:30~ 立命館アジア太平洋大学 ステューデントオフィス
APUは,多数の留学生を世界各国から受け入れていることで知られる.そのための取り組みについて詳しく説明していただいた後,留学生の寮に案内していただいた.
宿泊先である貸間旅館では,温泉の噴気で食材を蒸し上げる「地獄蒸し」で夕食を自炊した.その後,ミシュランガイドに載った「ひょうたん温泉」につかる.
8月2日(木)
9:30~ 別府市文化国際課
多数の留学生の受入には,行政のバックアップも欠かせない.また,別府市は,日本を代表する国際観光都市である.別府市の多文化行政についてご説明いただいた.
14:30~ 佐伯市役所政策企画課
政府の一大施策である「地方創生」.自治体は国の「総合戦略」にを踏まえて,「地方版総合戦略」をつくらなければならない.佐伯市の「地方版総合戦略」を創るプロセスと,その基本的な考え方について解説していただいた
葛港からマリンバスに乗船し,短い船旅で大入島へ.「海人夏館」で合宿のような1夜を過ごす.
8月3日(金)
佐伯市で,自分でなりわいを創っている人(創業者)に対して,グループごとに終日調査
事前学習の時間に学生自らアポイントを取り,あらかじめ質問項目を設定してあった.各グループが2~3人の創業者にだいたい1時間程度のインタビューを行った.
8月4日(土)
10:00~ 糀屋本店にて塩麴に関する講習
創業300年の糀屋.時代の波にもまれる中で,塩麴を世に送り出し,脚光を浴びることに.料理講習の形を取りながら,糀と老舗企業の魅力について学ぶ.
講習後,佐伯市民の心のよりどころ,城山に上って記念写真.

成果:
事前学習から実習,そしてレポート作成までの,すべての過程において,学生は多くのことを学んだ.とりわけ大きかったのは,佐伯市で雇われない働き方・暮らし方をしている人の話を聞いたことだろう.地方都市の多くは,人口減少に直面し,地域経済にも明るい話題は少ない.それでも,自らなりわいを創って生きている人たちは,とても輝いている.学生の多くは東京でビジネスマンになる道を歩むのだろうが,そうではない生き方もあることを学んでくれたら幸いである.

中澤高志 専任教授