別府市役所文化国際課訪問
イマーム(イスラム教の指導者)やムスリムの学生との交流
地獄蒸し料理
船頭町のリノベーションの現場を案内していただいた
まとめの会 それぞれが学んだことを発表
実習先: 大分県別府市・佐伯市
実習期間: 2023年8月7日(月)~8月10日(木)
テーマ: 地方都市の現場
目的(実習のねらい):
別府市でのテーマ:「地方都市のグローバル化」
温泉観光地として知られた別府市は、多くの留学生を擁する大学の存在と、インバウンド観光の活発化によって、地方都市でありながらグローバル化を肌で感じることができるフィールドである。そこに身を置くことで、多文化共生社会とは何かについて考えてみたい。
佐伯市でのテーマ:「自らなりわいを創る」
「田舎暮らしは魅力的だが、仕事はどうする?」と考えるとき、どうしても「雇われて働く」という選択肢にとらわれがちである。しかし、佐伯市のような地方小都市でも、雇われるのではなく、自らなりわいを創り出すことで、日々自分らしく暮らしている人々が現れ始めている。そういう人たちのバイタリティ溢れる生きざまに接することで、オルタナティブな生活の可能性について考えてみたい。
実習報告:
8月7日(月)
大分県別府市は、古くから知られた温泉観光地である。数多くの留学生が暮らすようになった。これに近年のインバウンド観光の伸びが加わって、別府市は多文化共生・国際観光都市として知られるようになった。
まずは別府市役所を訪問し、別府市文化国際課の大塚さんに、別府市の多文化共生の現状について説明してもらった。わかりやすいパワーポイントによる説明によって、ムスリムの増加に伴って、イスラム教の教義に沿った土葬墓地が必要とされる一方で、その建設をめぐる住民との対立があることを知る。
午後、多文化共生の象徴的な場所である別府マスジド(モスク)を訪れ、まずは礼拝を体験。そのあと、お菓子とチャイをいただきながら、イマーム(イスラム教の指導者)やムスリムの学生と交流した。対面でのコミュニケーションは、他者理解の基本。短時間ではあったが、イスラム教を身近に感じることができた。
夕方、鉄輪に移動。鉄輪のまちあるきをした後、温泉につかり、地獄蒸し料理を賞味。みんなでスーパーに買い出しに行って、自炊するのが楽しい。
8月8日(火)
鉄輪から貸し切りバスで佐伯に移動し、後藤さんと河野さんが手掛ける船頭町のリノベーションについて説明を受ける。昼食をはさんで、後藤さん、河野さんの案内で、船頭町のリノベーションの現場を見る。
台風の接近により、次第に天候は怪しくなってくる。それでも、夜は船頭町の友人たちが交流会を開いてくれた。
8月9日(水)
終日グループに分かれて調査。各グループの学生は、なりわいを創っている3人に、自分たちでアポイントを取り、佐伯市内をぐるぐると調査して回る。台風の接近により、バケツをひっくり返したような雨と、一時的な雨上がりを目まぐるしく繰り返す天候で、移動自体が結構大変だった。
夜は佐伯のシンボルである城山のナイトハイクに参加し、ムササビを見る予定であったが、やむなく中止。
8月10日(木)
10分ほどの船旅で大入島へ渡り、最新鋭の技術を導入したカキの養殖を見学するはずだったが、台風により船は欠航となった。学生がお世話になったゲストハウスのさんかくワサビでまとめの会をやる。参加した学生は、一人一人自分の言葉で、フィールドスタディで学んだことを語る。毎年毎年、学生引率はくたびれる仕事だが、やってよかったと実感する時である。
成果:
事前学習から実習、そしてレポート作成までのすべての過程において、学生は多くのことを学んだ。地方都市の多くは、人口減少に直面し、地域経済にも明るい話題は少ない。それでも、自らなりわいを創って生きている人たちは、とても輝いている。学生の多くは東京でビジネスマンになる道を歩むのだろうが、そうではない生き方もあることを学んでくれたようだ。それもこれも、毎年フィールドスタディを支えてくれる人たちのおかげです。これからもよろしくお願いいたします。
中澤高志 専任教授