近年日本は男女共同参画をめざす様々な政策を打ち出しながら、わが国の女性の社会参画は、諸外国と比べて必ずしも進んでいるとは言いがたい現状がある。本研究「日本における『女性専門職』の過去・現在・未来」の目的は、「女性専門職」に注目してその歴史をさかのぼり、現在にも通底する問題点を明らかにすることである。まず、女性専門職のパイオニアたる医師と弁護士を対象とし、その形成・発展過程を社会的・政治的・思想的状況の解明との連関で明らかにする。医師については、明治30年代・19世紀末葉以降の女性医師職創出への努力とその展開を、当時の政府・有識者およびメディアの女子教育に対する対応や女性に対する社会思潮などとのかかわりのなかで明らかにする。同様に女性弁護士についても、大正期・20世紀初頭以降の努力と展開を当時の社会的・政治的・思想的状況の中で解明する。この両者を比較検討することで、女性専門職がもつジェンダー視点での問題点の根源を探っていく。