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研究プロジェクト 2015年度

A「女性専門職の過去・現在・未来」

武田政明・吉田恵子・細野はるみ・平川景子・長沼秀明・岡山礼子
 人は、だれでもがその能力と希望に応じて、その選択した職業を通じて、自己実現をはかり社会貢献をする。そのことによって、社会は、安定的に維持され発展の継続がなされる。したがって、職業の選択と遂行の場面において、必要な能力の獲得と自由な選択意思および円滑な遂行を阻害する要因となるものの分析は、きわめて重要である。このことは、現在でも数々の点で克服できていない女性の職業選択の自由および職業継続・遂行の阻害要因を根源的なところから除去する解決手段を考える際にも同様である。本研究は、かつては、女性が選択することができなかった、いわゆる女性専門職に注目し、女性がその専門職に就くために克服していった過程を、それぞれの時代ごとに、政治、経済、文化的背景等を十分に踏まえて総合的に研究する。

B「企業における女性の活躍推進に関する調査研究」

牛尾奈緒美
 女性管理職の増加に向けた取り組みが多くの日本企業で採用されるようになっており、いくつかの先進企業では、生え抜きの女性が執行役員などの重要ポストに抜擢されるまでになってきた。反面、企業組織には女性の就労継続や昇進に関して男性とは異なる問題が残存しており、その実態を解明し問題解決につなげていく努力が必要とされている。そこで、本研究プロジェクトでは、組織内で女性従業員が抱える就労問題や心理的ストレス、組織内の制度的問題点などについて調査研究を行っていく。研究にあたっては、大規模な質問紙調査による従業員意識調査や、インタビュー調査などを実施し、研究成果として発表する予定である。

C「後期近代におけるジェンダー規範の変容と持続」

田中洋美
 近代化の過程で形成された伝統的なジェンダー規範は、後期近代とされる現代社会においてもジェンダー関係の社会構造を根底から支える、いわば通奏低音のような役割を担っている。本プロジェクトでは、伝統的ジェンダー規範の変容に関わる女性の集合行為を考察する。今年度は二つの集合行為を取り上げる。反DV政策形成過程における女性の集合行為とメディア空間に見られる女性コミュニティである。後者では、LOHAS志向の女性(例えばヨギーニ)といった集団を取り上げる。今年度、新たなデータの収集を行う予定である。