経営学部

佐々木聡教授が執筆に加わった『花王120年』が日本経済新聞に紹介されました。

2012年10月24日
明治大学

10月21日(土)の日本経済新聞の文化欄で,経営学部・佐々木聡教授(日本経営史・日本企業者史)が執筆に加わった『花王120年』が紹介されました。
 同記事は,「バブル崩壊以降も社員や取引先に創業者精神と先輩の苦労を語り継ぐために,日本企業の社史が衰えることなく発刊されている」として,最近の社史事情に追ったものです。
『花王120年』は,『中村屋100年史』,『風雪の百年』(チッソ株式会社)などともに,最近刊行の代表的な社史のひとつとして紹介されています。最近の社史は,成功事例だけを取り上げることにはなっていないことに特徴があるとしています。これに関して,花王の担当者の「撤退したフロッピー・ディスクや,安全性の問題で販売を中止したエコナや,複雑な経過をたどったカネボウ化粧品についてもしっかり記述した」というコメントも紹介しています。また『風雪の百年』のように水俣病に関する記述も「一歩離れた見方で」(客観的に)かつ時系列的に記述していることが紹介されています。これは,社史編纂の目的が会社の原点を見直すとともに自社の来し方を学ぶことにあるからであり,社員教育にも活用されているとしてます。花王については,2007年に東京にすみだ事業場に開設された「花王ミュージアム」も紹介しており,そこを訪れると「3次元の社史」を読み解く感もあるとしています。
社史は,一方では,取引先以外の社外の者がその企業を知るうえでの大きな情報源でもあります。大学においても,経済学・産業論・経営学・経済史・産業史・経営史などの教育・研究の素材として,利用価値が高いと思われます。そうした意味でも,今後も,史実を丹念かつより客観的に整理した重厚な内容の社史の刊行が期待されます。


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