経営学部

フィールドスタディD(インド:大石先生)実施報告

2017年04月25日
明治大学

カシオ・インディアにてカシオ・インディアにて

マルチスズキ訪問マルチスズキ訪問


 テーマ  インドにおけるグローバル・マーケティングの実態調査

 2017年3月13日はインドの「ホーリー祭」で、その混雑を避けるために同日夜デリーに入り、翌14日から調査を開始しました。
14日午前はダイキン・インディアを訪問し、同社の急成長するルームエアコンのマーケティング戦略について詳細にお話しを伺いました。引率者は同社訪問は2回目で、インドを統括する地域副代表の方とは日本にいる時からの知り合いで、同社の強みも課題も併せて伺うことができました。
14日午後は博報堂パーセプトを訪問し、インドにおける広告事情や同社が手がける広告・コミュニケーションの具体的事例を伺いました。ここも引率者は2回目で、社長とは旧知です。博報堂とも長い付き合いなので、社長も学生の質問等に丁寧に回答いただきました。とくに、マルチスズキの新しいブランド「NEXA」の話をここで伺い、後日の同社調査と関連づけられたことが良かったです。
15日午前はカシオ・インディアを訪問し、Gショックをはじめとする時計ビジネスを中心に同社社長より詳しくお話しを伺いました。引率者は同社訪問は3回目で、過去2回は旧社屋でしたが、今回は約2倍の広さの新社屋になっており、従業員も1.5倍に増え、業績の好調さを実感しました。なお、後日、ショッピングモールで同社のお店を拝見しましたが、ラグジュアリーブランドと同格の扱いでした。
15日午後はくふ楽を訪問し、同店で昼食を食べた後、事務所に移動し、責任者の方から進出経緯、マネジメント、具材の調達、今後の展望などを詳しく伺いました。くふ楽は基本的に日本人を主たる顧客にしていますが、インド人は日本人のようにはお酒を飲まないので一人当たりの単価が下がるからということでした。
15日夕方は、引率者の友人であるデリー在住の繁田奈歩氏(infoBRIDGE代表)に、同社のグルガオン事務所で特別講演をお願いしました。インドでビジネスをやる上での留意点に絞って、8年間の在住経験と数多くのコンサルティング実績に基づき、詳しくお話しいただいたことは、調査全体の整理にも繋がったものと思われます。
16日午前はマルチスズキの本社を訪問しました。当初はマネサールにある同社の第2工場を訪問する予定でしたが、学生の事前研究による質問票を見られた同社の方が「その内容ならば本社を訪問した方がよい」と示唆していただき、急遽本社訪問となりました。マルチスズキのグルガオンにある第1工場もマネサールにある第2工場も引率者は訪問済みでしたが、本社訪問は初めてで、確かにマーケティングの研究には本社が適切であると実感した調査でした。インド市場で40%以上のシェアを誇る同社のマーケティング戦略は興味深かったですし、「ファミリーカー」のイメージになりつつある「マルチスズキ」から新規顧客開拓のため「NEXA」ブランドを立ち上げている過程などを学びました。同日の午後、デリーからプネへ飛行機で移動しました。

17日の午前は富士通コンサルティング・インディアを訪問し、富士通の活動を学びました。インド人の代表の方は英語で、日本人の担当の方は日本語での説明でしたが、事前に日本の本社を訪問していたこともあり、学生はどちらでも対応しました。同社の計らいで、インド人の従業員を10数名招いて、4つのグループに分かれ、インド人がインド企業(ないし欧米企業)で働くことと日本企業で働くことの違いなどを議論させていただきました。
17日の午後はTCS(Tata Consulting Services)を訪問しました。TCSはインドの財閥タタ・グループの中核企業で、時価総額ではインド最大の企業です。IT分野では世界の5指に入る大企業でもあります。日本担当のインド人幹部3名が列席され、英語で詳細な説明をしていただきました。学生に対する対応としては破格の扱いであると感じました。引率者は過去ムンバイにあるTCSの本社を訪問したことはありましたが、プネの事業所は初めてでした。それでもやはり、「キャンパス」と呼ばれる広大な敷地に最先端の建物が立っている様は同様で、インド企業のパワーを参加者全員感じたところです。
17日の夕方はBharati Vidyapeeth University, Colledge of Engineeringを訪問。学長・学部長のProf. Anand R. Bhaleraoを引率者が表敬訪問した後、Prof. Sandeep B. Vanjaleの構成のもと、インド人学生と日本人学生のミーティングを開きました。まず、Prof. Vanjaleと引率者の挨拶の後、インド人学生のプレゼン、その後、日本人学生のプレゼンをすべて英語で行いました。その後、両国学生同士のグループ討議を行い、インド人学生からの歓迎の歌や太鼓演奏などがあり、記念撮影して散会しました。もっとも、学長の勧めもあり、夜はシェラトンホテルのルーフレストランで一緒に夕食をとり、さらに懇親を深めました。学生同士はその後、二次会も開催したようです。

 引率教員を除き、学生は全員が初のインド訪問でした。インドを生で見たことが一番の成果であると思われます。出発前は「怖い・汚い、行きたくない」と言っていた学生が、帰る時には「インド大好き」と言うようになりました。若干お腹を壊す者もいましたが、寝込むほどのことはなく、天候やガイド、友人の支援などにも恵まれ、極めて順調に調査を重ねることができました。プネでは日本人2名の方にボランタリーで大変お世話になり、学生も大満足でした。もちろん、主目的であるグローバル・マーケティングの調査もしっかり行うことができ、学生の今後の研究に大いに役立つということを確信しました。

大石 芳裕 専任教授