経営学部

フィールドスタディB(広島:菊地先生)実施報告

2017年11月28日
明治大学

テーマ 「地域の潜在力を活かしたまちづくり:尾道市を事例に」

本講義は、広島県尾道市におけるまちづくりを事例に,事前学習と現地実習、事後のまとめを通じて、フィールドスタディの一連のプロセスを体験的に理解することを目的としている。

事前学習では、複数の小グループに分かれて各訪問先の下調べを行うとともに、ヒアリング質問項目の精査や、調査スケジュールの検討を行った。

実習は11月5日から8日まで3泊4日で行い、尾道市の旧市街地としまなみ海道の向島と因島を中心にフィールドワークを行った。5日は移動日となり、6日は朝に千光寺山ロープウェイを使って千光寺公園に登り、主に商業地がひろがる尾道水道に面した平地と、かつての豪商が競って建てた別荘地(「茶園(さえん)」)や寺社が点在する斜面地によって構成される旧市街地の構造と特徴の把握に努めた。午後には、「NPO法人尾道空き家再生プロジェクト」代表理事の豊田雅子様を迎えこれまでの活動の経緯や成果などについてヒアリングを行った。ヒアリングを行った場所も同NPOが商店街の空き店舗を改築したゲストハウス(あなごのねどこ)であり、再生の取り組みの成果を実感することができた。
7日は各グループに別れそれぞれのテーマに沿ってフィールドワークを行い、観光施設や案内所での聞き取り、市街地での空き店舗や斜面地での空き家の再生状況の確認、観光客の入込状況の把握などに努めた。かつて歯抜け状態であった駅前商店街は移住者や地元資本による新規の出店により、空き店舗はかなり少なくなっており、また平日にも関わらず多くの旅行客で賑わうなど、活況を目の当たりにすることができた。
8日は、自治体や商工観光団体の県を越えた取り組みであり、日本版DMOの一つである「一般社団法人しまなみジャパン」が運営するレンタサイクルを利用し、因島と向島での道路の整備状況などの確認を行った。一般道では安全を考慮してわかりやすく青色で色分けがされ、専用レーンも整備されるなど、利用者への配慮が伺われた。9日は朝に3日間の知見のまとめを行った後、帰京した。尾道は多くの学生にとって初めて訪れるまちであったが、「箱庭的都市」と呼ばれる美しい景観と、またそれを守りつないでいこうとする地元の取り組みに触れ、地域の潜在力をいかしたまちづくりの具体例を学ぶ、有意義な訪問となった。

菊地端夫 准教授