経営学部

フィールドスタディD(フランス:折方先生)実施報告

2019年03月11日
明治大学 経営学部事務室

レピュブリック広場レピュブリック広場

バタクラン劇場(2015年11月13日の無差別テロ現場のひとつ)バタクラン劇場(2015年11月13日の無差別テロ現場のひとつ)

シテ島ノートルダム大聖堂前にてシテ島ノートルダム大聖堂前にて

パサージュの古本屋パサージュの古本屋

ベルヴィル地区:庶民によるアート作品ベルヴィル地区:庶民によるアート作品

テーマ  :フランスの移民街の在り方から多文化共生のヒントを得る
実習期間:2018年10月31日〜11月7日
実習先 :フランス(パリ・ヴェルサイユ)

 本講義は、喫緊の課題でありながら未だに多くの日本人学生にとっては具体的な実感の湧きにくいテーマである「多文化共生」について、多くの移民・難民を受け入れる中で発展してきたフランスの首都パリを中心に現地訪問をすることでその実態にふれ、学生自らが多文化共生を自分たち自身の問題として考える契機とすることを目的として実施された。
 事前学習ではパリの1〜20区の特徴について調査し、それぞれの地域の特色や歴史をまとめた上で、訪問ルートや訪問時の調査項目について確認を行った。その際、移民街だけに着目するのではなく、パリ中心部の商業地区、西部の山手地区、南部の庶民的エリアなどにも着目し、特徴的な建築物や商業施設の形態、住民や買い物客の服装などを中心にエリアごとの特徴を比較検討するよう具体的な指標を作成した上で、現地へ向かった。
 現地着は11月1日午後。その日はパリ中心街のボーブール地区にあるポンピドゥーセンターにて近現代アートを鑑賞した。翌2日はパリ市との比較を行うため、ヴェルサイユ市を訪問。宮殿や、市内の街並みを見学した。3日はパリの日常風景のひとつである朝市(マルシェ)を見学したのち、午前中はリュクサンブール公園からカルチエラタンまでの文教地区と、シテ島からパリ市庁舎までの公的機関の立ち並ぶ地区を見学した。午後はいわゆる山手地区である15〜16区(パッシー、ボーグルネルなど)に足を運び、商業施設の建築や品揃え、価格帯、客層などの比較を行った。4日はパリ中心街である1区、8区、9区を回った。シャンゼリゼ大通りからマドレーヌ〜オペラ地区、パサージュ見学やルーブル美術館など、有名な建築物や芸術作品にふれつつ、前日に訪れた地区との街並み(建物、道幅、交通量etc)の比較も行った。5日はこの研修のメインテーマである「移民街」を中心に見学を行った。アラブ系の多い北部、インド系の多い北駅周辺、人種のるつぼと言われる東部レピュブリック広場近辺、中華系の多い北東部のベルヴィル地区と南部のショワズィー地区、ユダヤ系の多いマレ地区と、ぐるりと回った。前日までに訪れた中心部や西部、南西部の華やかなパリや庶民的なパリに対しては際立った異質性を持ちつつも、移民街はパリの別の顔として確かに存在していて、その当たり前の事実の発見に学生たちは大きな気づきを得たようである。移民街の住民も、それぞれが「パリ市民」としてしっかりと根を張って生きているという現実を垣間見ることができたのではないだろうか。総じてよく歩いた5日間であったが、自分たちの足を使って調査をしたからこその充実感と達成感が得られたように思われる。
 事後学習では、それぞれが分担して移民街の歴史や特性をまとめ、共生にむけての努力や成果についても新たに調査して報告書にまとめることができた。また、参加していない学生も交えた成果報告会を実施し、他の学生とも知見を共有した。本年度は少人数の参加ではあったが、参加学生同士がしっかり協力し合い役割分担を行ったことで各自の責任感も高まり、また仲間意識も深まった研修になったのではないだろうか。

折方のぞみ 専任准教授