経営学部

フィールドスタディC(山形県:藤江先生)実施報告

2019年11月06日
明治大学 経営学部事務室

②㈱山本製作所②㈱山本製作所

④㈱赤塚製氷④㈱赤塚製氷

実習先: 山形県企業
実習期間: 2019年5月22日~5月24日
テーマ: 「地域企業・産業調査」

 本実習(「地域企業・産業調査」)では,地方産業都市を訪問し,地域に根差しながら、市場の開拓に積極的に取り組んできた「地域中核企業」や地域の伝統を活かした独自の理念や戦略をもつ企業を訪問し、経営トップ・幹部クラスの方々の講義、併せて事前に送付している学生の質問を基に質疑応答を行い、さらに工場見学を行った。実習の目的は、訪問企業の歴史や現状、課題を知り、その展望について考えるヒントを得ることであり、「ものづくりの心」を感じ,それを具体化する力の必要性を知ることである。
今回は5社すなわち、①(株)ミクロ、②(株)山本製作所、③(株)滝の湯、④赤塚製氷(株)、⑤出羽桜酒造(株)を訪問した。何れも、歴史のある地域に根差した地域中核企業である。
以下では、その沿革・歴史、現状、学生の御礼・感想を紹介する。

<沿革・歴史(各社HPより)>
①ミクロ(株)は、鎌田三郎(創業者)が1953年山形市銅町にミクロ化学研究所を開設し、その後、1965年に食品部を開設、調理食品メーカーとしてスタートし、翌1966年12月株式会社を設立した。代表取締役会長 後藤久一氏、代表取締役社長 鎌田儀一氏である。工藤会長の御話しと工場見学をさせて頂いた。同社の事業内容は、調理食品の製造販売(メンマ・野菜類が主原料)で、メンマの販売は国内シェアの50%を超えている。2015年には創業50周年を迎えた従業員数は149名(男子81名、女子68名)の中堅企業である。

「御礼状」(一部抜粋)
 この度は、ご多忙中にも関わらず私共のために貴重なお時間を割いて頂き誠に有難う御座いました。
 工場見学の際、徹底した管理を目にし、ISOの取得・安全な品質の背景にある努力を知ることができました。また、お話を伺う中で、企業の成長の姿に伴う会長の人生があるように感じました。失敗から学ぶものが沢山あることや、時には大きな決断が必要でその際には決断したことに責任を持ちやり抜くことが大切であることなど、貴重なお話を伺うことができ大変嬉しく思います。
 メンマの試食もさせて頂き有難う御座いました。ラーメンに添えられているものの印象しか無かったのですが、ご飯のお供、サラダの具材などイメージの幅が広がりました。お土産も毎日美味しく頂いております。
 今回の企業訪問を今後のゼミナール活動に努めていきたいと思っております。
 末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。 敬具 N.Y.

「先日はお忙しい中、私共のために貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました。普段見ることができないところまで工場見学をさせていただき、重ねて御礼申し上げます。貴重な経験になりました。同時に、業界トップシェアを維持する貴社のこだわりが衛生面の厳しい管理などから伝わってきました。
 また、様々な種類の味のメンマを開発する企画力、私共が見ても理解できるような「見える化」された職場作りなど大変参考になりました。今回、貴社で学んだことを今後のゼミナール活動に活かしていきたいと思います。
末筆ではございますが、貴社の益々のご発展、ご活躍を心よりお祈り申し上げます。S.N.                                        

② (株)山本製作所
創設者・山本惣治郎が鎌や包丁の行商を開始。
従業員6名と個人経営で養蚕用桑切り機を製造・販売する。
水田用の中耕除草機、人力脱穀機、米選別機等も製造開始。2018年に創業100周年を迎えた。

創業以来の農業関連機器事業や精米加工関連機器事業に加え、1990年の発泡スチロール減容機「ハイメルター」、販売開始以降、環境関連機器事業にも展開してきている。尊い地球環境を保全すること。限りある資源を有効に活用すること。環境保全への取り組みは世界規模の大切なテーマであるという認識の下、 山本製作所は、これまで培ってきた技術を特化、応用し、廃棄物のリサイクル活用を主体とした環境にやさしい製品の開発に取り組んでいきている。

「御礼状」(一部抜粋)
「先⽇は私共のために貴重なお時間を割いて頂き有難う御座いました。 お話の中での「今は作れば売れる時代ではなく、調査によって的確に顧客ニーズを把握していかなければならない」という御考えが、多種多様な企業が存在する現代において⾮常に ⼤切になってくるものだと感じました。
また、社員育成の⼀環としての世界旅⾏の⽀援等、従業員のモチベーション維持のために 様々な企画を⽴案されていることも⼤変感銘を受け、将来こういった企業で就職できたら 会社に対して貢献しようと思えるだろうと感じました。 今回の訪問で得たものを活かして、今後のゼミでの活動に励んでいきたいと思います。 末筆ながら貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。 敬具 Y.N.

③(株)滝の湯は1911(明治44年)創業代 屋号「ほほえみの宿 滝の湯」(代表取締役社長 山口敦史)の108年の歴史ある旅館業を営んでいる。天童市の天童温泉は平地にある温泉で、街自体も木工【天童木工】)や将棋の駒(左馬含む)、食べ物も芋煮ややサクランボ、ラフランスなど有名なものがあり、人間将棋など観光資源も豊富である。しかし、旅館業としては課題もあり、旅館同士の連携と創意工夫(手ぬぐいの共通化など)により天童温泉の活性化(長期滞在を含む)を積極的に行ってきている。

④(株)赤塚製氷は、赤塚弘美社長(4代目)は、1908(明治41)年創業の111年の歴史を刻む老舗製氷企業です。創業者は、この地域での冬の間の雇用増進を目指して田んぼでの氷製造業を始めました。その老舗企業でここ数年旋風を巻き起こしているのが、現在の5代目の赤塚弘行専務取締役です。
 この企業は、想像力豊かで夢を具体化する企業です。現在、赤塚製氷では、氷やドライアイスの製造・販売やアイスクリームなどの卸売業に留まらず、アイスクリームの自社商品開発から販売、氷の彫刻を使ったブライダル演出、カフェ事業”Ice cafe 弘水”の運営などにも力を入れている。
氷の製造や販売、及び氷彫刻の制作やかき氷を販売する店舗を運営しているが、六銘泉湧水を使用した「ダイヤ氷」などの氷商品やドライアイスの製造や販売も行っている。また、アイスなど冷凍食品の卸販売も行うほか、結婚式やイベントなどで用いる氷の彫刻制作も手掛けている。また、上述のカフェ事業”Ice cafe 弘水”は、5年前に専務が発案し、天童駅前にてプレハブでの販売からスタートしたかき氷中心のカフェですが、今や行列ができるほどの人気店となっている。
好評のかき氷に加え、作「天童将 こ 棋 ま 愛す」.を5月から販売。当所で推進 する将棋の聖地化事業「コマノミクス」とリンクした特産品です。 地元菓子店の将棋駒のもなかにおいしいアイスを入れました。 「アイスを通して“将棋の天童”に興味をもってもらいたい」地元 天童をこよなく愛す赤塚社長渾身の作です。

「御礼状」(一部抜粋)
「貴社のような地方の中核となる企業の経営や人脈の広さ、世代を越え会社を成長させるという強い思いに大変感銘を受けました。また特に東京進出への価格のお話では、「氷屋としての誇り」を感じると共に、経営としての難しさを大変痛感いたしました。
 赤塚弘美様はじめ、弘行様、スタッフの皆様のあたたかいお心遣い、誠にありがとうございました。」 S.N.

「先日は私共の為に貴重なお時間を割いて頂き本当に有難うございました。
製氷業は季節に左右される業種であるという意味で、非常に厳しい業界だと思いますが、氷にとにかく様々な付加価値を付けて販売していることや、氷は溶けるものなのであえて長続きする工夫をしていないというお話がとても印象的でした。さらには価格で勝負するのではなく、高くても買ってもらえるような商品を作るというお話や、東京のどこに出しても売れる自信があるといったお話のとにかく強気な姿勢にとても惹かれました。」 M.F.

⑤ 出羽桜酒造(株)
出羽桜酒造株式会社は1892(明治25)年11月操業の127年の歴史を持つ酒造メーカーである。初代仲野清次郎が分家し、酒蔵として創業したが、現在の代表取締役社長は仲野益美氏で、同社の訪問では、営業部長兼社長室長である仲野 賢氏に講義をして頂くとともに、出羽桜の醸造蔵(天空蔵、山形蔵)・瓶詰工場・大型冷蔵庫等を含む工場見学、そして質疑応答をさせて頂いた。また、出羽桜美術館も持ち、文化活動にも力を入れている。
地元に根ざした品質第一の酒造りに徹し、1980年には、蔵の看板酒である「桜花吟醸酒」を発売致しました。当時「吟醸酒」という言葉は一般的に知る人が少なく、鑑評会用にのみ醸造されていました。「吟醸酒の素晴らしさを多くの方に知ってほしい」の一念で発売したこの酒は、吟醸酒の普及に貢献してきたと自負しております。
 また1997年には、輸出もスタートした。同社は、下記に示すように、数多くの受賞があるが、とりわけ、海外のコンクールで日本メーカーとして唯一2度のグランプリを受賞していることは特筆に値する。
・2019年 全米日本酒勧評会19年連続金賞!
・2018年 東北清酒鑑評会 優等賞受賞(通算72回)
・2017年 全国新酒鑑評会 6年連続金賞受賞
・2016年 全国新酒鑑評会 本社蔵・山形蔵 5年連続金賞受賞
・2016年 インターナショナル・ワイン・チャレンジ 出羽の里がチャンピオン・サケ受賞
・2016年 IWC SAKE BREWER OF THE DECADE受賞(10年間の最優秀蔵)
・2013年 純米酒大賞 3度目の大賞受賞
・2008年 全国新酒鑑評会 平成20年金賞受賞(12年連続)
・2008年 インターナショナル・ワイン・チャレンジ 一路がチャンピオン・サケ受賞
・2005年 地酒人気銘柄ランキング 12年連続日本一

「御礼状」(一部抜粋)
「この度は⼤変お忙しい中、私共藤江ゼミナールのために貴重なお時間を頂き まして誠に有難うございました。 お話を伺った中で、「⼀路」を例にとり、初め国内では評価を得ていなかった 商品が、海外で最⾼賞を受賞し評価を得ることで、⽇本市場で需要が増加すると いうようなブーメラン効果を狙った経営戦略は、⽇本酒という⽇本⽂化を別の ⾓度からアプローチした⾮常に興味深い戦略で、⼤変勉強になりました。 また、⼤⼿企業はアメリカなどでの現地⽣産が増加している中で、貴社の海外 ⽣産は考えていないという考えは、⼭形県天童市に根付いた地域を牽引する⽇ 本企業であるという強い誇りを感じました。 今回⼯場⾒学とお話から学んだ事をこれからのゼミナールの活動に活かして いく所存でございます。 簡単ではございますが、まずは御礼申し上げたくお便り申し上げました。末筆 ではございますが、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。」 A.M.

実習の目的は、訪問企業の歴史や現状、課題を知り、その展望について考えるヒントを得ることであり、「ものづくりの心」を感じ,それを具体化する力の必要性を知ることであったが、今回の5社の訪問(説明と見学、質疑応答等)により本授業の〈到達目標〉をほぼ達成できたと考える。

藤江昌嗣 専任教授