経営学部

フィールドスタディ C(大分県:中澤先生)実施報告

2020年04月01日
明治大学 経営学部事務室

テーマ  :地方都市の現場—別府市・佐伯市編
実習期間:2019年7月31日(水)~8月3日(土)
実習先 :大分県別府市,佐伯市


目的(実習のねらい):
別府市でのテーマ:「地方都市のグローバル化」
 別府市は,立命館アジア太平洋大学(APU)が立地したことにより,多様なバックグラウンドをもつ多数の留学生が暮らす街となっている。また,古くから温泉観光地として知られた別府市は,今日ではインバウンド観光の誘致に力を入れている。こうして地方都市でありながら,グローバル化の洗礼を受けた別府市において,大学や市役所,地域社会はどのような対応をしているのであろうか。それを通じて,多文化共生社会とは何かについて考えてみたい。

佐伯市でのテーマ:「自らなりわいを創る」
 「田舎暮らしは魅力的だが,仕事はどうする?」と考えるとき,どうしても「雇われて働く」という選択肢にとらわれがちである。しかし,佐伯市のような地方小都市でも,雇われるのではなく,自らなりわいを創り出すことで,日々自分らしく暮らしている人々が現れ始めている。そういう人たちのバイタリティ溢れる生きざまに接することで,オルタナティブな生活の可能性について考えてみたい。

実習報告:
7月31日(水)
大分空港に集合し,10時過ぎに空港バスで出発.

11:30~ 立命館アジア太平洋大学 ステューデントオフィス
APUは,多数の留学生を世界各国から受け入れていることで知られる.そのための取り組みについて詳しく説明していただいた後,学食で昼食.ムスリムの学生向けにハラールフードが用意されている.

14:00~ 別府市文化国際課
多数の留学生の受入には,行政のバックアップも欠かせない.また,別府市は,日本を代表する国際観光都市である.別府市の多文化行政についてご説明いただいた.
宿泊先である貸間旅館では,温泉の噴気で食材を蒸し上げる「地獄蒸し」で夕食を自炊した.その後,散歩がてらみんなで近所の温泉に.

8月1日(木)
別府から佐伯までは貸し切りバスで移動.

10:30~ リノベーションのフィールドワーク@船頭町
市役所にて,建築の仕事に携わりながらも,中心市街地に残る古い物件をリノベートして住まいにしている職員の方の話を聞く.そのあと,実際にリノベーションの現場をフィールドワーク.

14:00~ 糀屋本店にて塩麴に関する講習
創業300年の糀屋.時代の波にもまれる中で,塩麴を世に送り出し,脚光を浴びることに.料理講習の形を取りながら,糀と老舗企業の魅力について学ぶ.
さらにリノベーション物件を見て回った後,歴史的建造物,住吉御殿にて佐伯の人たちとの交流会!


8月2日(金)
佐伯市で,自分でなりわいを創っている人(創業者)に対して,グループごとに終日調査
事前学習の時間に学生自らアポイントを取り,あらかじめ質問項目を設定してあった.各グループが3人,計12人の創業者にお世話になり,1時間程度のインタビューを行った.

8月3日(土)
葛港から短い船旅を経て大入島へ.
11:00~ 漁船に乗ってカキの養殖現場を見せてもらう貴重な体験をした.

13:00~ 佐伯市城下町観光交流館にてまとめの会
全員が自分の言葉で学んだことを話した.


成果:
事前学習から実習,そしてレポート作成までの,すべての過程において,学生は多くのことを学んだ.地方都市の多くは,人口減少に直面し,地域経済にも明るい話題は少ない.それでも,自らなりわいを創って生きている人たちは,とても輝いている.学生の多くは東京でビジネスマンになる道を歩むのだろうが,そうではない生き方もあることを学んでくれたようで,今年度はレポートの出来がとてもよかった.それもこれも,毎年フィールドスタディを支えてくれる人たちのおかげです.今後ともよろしくお願いいたします.


中澤高志 専任教授