経営学部

フィールドスタディD(神奈川、広島、愛媛:石津先生)実施報告

2022年12月23日
明治大学 経営学部事務室

センコー連結トラックセンコー連結トラック

実習先: 神奈川、広島、愛媛
実習期間: 2022年9月1日(神奈川県)、2022年10月17日~10月19日(広島県、愛媛県)
テーマ: 様々な主体のCSR活動


目的(実習のねらい):本学習は、学生自身が関心のある業種や団体を選定し、各業界や地域の状況について事前学習を進め、
さらに、その選定した組織体を訪問して学習内容の成果を当該組織体の方々にプレゼンテーションを行い、
いただいたフィードバックをもとに事後学習を行い更に研究を深めていこうとするものである。
 このような手法をとる本学習には、通常の座学からは得られない2つの目的がある。1つは、現在進行形で進んでいる社会や、実務を推進するプロの考え方について学ぶ機会を得ることにより、自らの視野を広げるとともに主体的に課題を推進する力を身に付けることである。もう1つは、学外の組織にプレゼンテーションを行う機会が得られるため、社会におけるプレゼンテーションのスタンダードや社会人としての種々のマナーを学び取れることである。

実習報告と成果:学生は3つの班(物流、食品、観光)に分かれ、下記3か所の訪問先で研究報告を行うなどの実習をした。
その詳細は下記のとおりである。なお、COVID-19等の影響により物流班の日程には再再度の変更が生じたため、結果として日程を2回に分けることとなった。

(1)センコー株式会社 神奈川支店東扇島車輛センター(2022年9月1日)
 物流班は、COVID-19等の影響もあり急増する配送個数、労働力不足等の課題に直面している物流分野を対象として、当課題の解決策として連結トラックに焦点を絞って研究を行った。このため、業界において連結トラック導入のパイオニアであるセンコー株式会社を訪問し、研究成果のプレゼンテーション、連結トラックのデモンストレーション見学・同乗などの実習を行った。
 プレゼンテーションでは課題抽出・統計資料の扱いなど評価を頂くとともに、連結トラックのオペレーションの詳細、物流業界全体を取り巻く環境や今後の見通しなどについて詳細かつ広い視野からの知見を頂くことができた。また、具体的なコスト面の情報も得ることができたことは大きな収穫であった。実地で連結トラックのデモンストレーション・同乗ができ、机上で学習していた課題が実感として会得できたことは大きな収穫であった。

(2)安芸の山里農園 はなあふ(2022年10月17日)
 食品班は、主要国に比べて日本では普及していないオーガニック野菜を対象とし、その普及促進について研究を行った。安芸の山里農園はなあふは、オーガニック野菜を生産し、地域に密着して流通させるとともに社外機関と協働して生産・流通について研究している先導的な組織として全国的に知られている。訪問においては、研究成果のプレゼンテーション、農場・販売所の見学などを行った。
 プレゼンテーションでは論理構成・各種資料の扱いなど評価を頂き、農場・圃場では徹底したオーガニック野菜栽培の現状、販売所でのオーガニック生産に関する情報発信活動などを実地に見ることができ啓発された。また、生産量増加・低価格化を進める方向ではなく、対話と情報発信によって消費者と「価値の共有」を進めることにより或る程度高価格でも納得する消費者を増やすという信念を持った姿勢が印象的であった。

(3)愛媛県観光物産協会(2022年10月18日) 
①DMO(Destination Management/Marketing Organization)の研究発表
 観光班は、COVID-19の影響を大きく受けた観光業を対象とし、その活性化の手法としてDMOに焦点を当てて研究を行った(DMOは観光庁が仕組みづくりを行ったもので、地域の関係者が主体的に参画した観光地域づくりの拠点組織)。愛媛県観光協会は内外の観光客誘致のために愛媛DMOを積極的に運営している組織として知られている。訪問においては、研究成果のプレゼンテーション、観光物産館の見学などを行った。
 プレゼンテーションでは、観光業の現状分析等について高い評価を得ることができた。また、先方からは具体的な観光事業(プラン)の進め方を伺うとともに、様々な行政施策の推進に当たっての中央と地方の意識・考え方の違いなどについても説明を頂き、視野を広めることができた。 
②松山の観光プランの提案
 観光協会が行った実態調査では、いかに宿泊観光客を増やすかが課題の一つとされていたので、自分達でも観光プラン「学生バイトによる滞在期間長期化への取組」を作成し、専門員のアドバイスを頂いた。また、フィールドワークとして、班に分かれて松山市内巡りをしながら交通・お土産・飲食店などについて気づいた点・課題を抽出し、帰京後、その結果をレポートにして観光物産協会に送付した。
 問題発見意識をもって実際に街歩きをし、その結果をレポートにする過程は、本授業の目的の一つである問題発見能力の涵養に少なからぬ効果があった。

石津寿惠 専任教授