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ジェンダーセンター

センター開設10周年記念シンポジウム・パート1「ジェンダー研究の新展開——この10年と今後」を開催します

開催期間:2019年09月20日
明治大学

 1970年代以降に米国で盛んになった女性史研究は、近年ではジェンダー史研究として発展してきた。近年のジェンダー史研究の展開について、ここでは2点挙げる。
 第1に、人種など他の権力関係を構成する社会的要素がジェンダーと交錯することによって生じてきた諸問題を検討する、インターセクショナルな歴史研究である。アメリカ史では人種とジェンダーの交錯が以前から研究されてきたが、近年、「白人性(の特権)」の構築とジェンダーがいかに結びついてきたのかを論じる研究が増加している。
 第2に、アメリカ政治史にジェンダーを組み込む叙述である。従来、総合的叙述といえば既存の叙述に女性史・ジェンダー史を付加するものであったが、近年、政治史の展開においてジェンダーが不可欠の役割を果たしたことを、女性史および男性史研究の成果を交えながら叙述する研究が登場している。以上の点を、アメリカ史研究の具体例に即して論じたい。
 1970年代以降に米国で盛んになった女性史研究は、近年ではジェンダー史研究として発展してきた。近年のジェンダー史研究の展開について、ここでは2点挙げる。
 第1に、人種など他の権力関係を構成する社会的要素がジェンダーと交錯することによって生じてきた諸問題を検討する、インターセクショナルな歴史研究である。アメリカ史では人種とジェンダーの交錯が以前から研究されてきたが、近年、「白人性(の特権)」の構築とジェンダーがいかに結びついてきたのかを論じる研究が増加している。
 第2に、アメリカ政治史にジェンダーを組み込む叙述である。従来、総合的叙述といえば既存の叙述に女性史・ジェンダー史を付加するものであったが、近年、政治史の展開においてジェンダーが不可欠の役割を果たしたことを、女性史および男性史研究の成果を交えながら叙述する研究が登場している。以上の点を、アメリカ史研究の具体例に即して論じたい。
記念シンポジウム「21世紀の多様性と創造性——学術・アート・ファッションにおける新展開」を9月、11月と2度に渡り、開催します。
パート1「ジェンダー研究の新展開——この10年と今後」(9月20日開催)では、多様性に関する学術的な議論をリードしてきたジェンダー研究を論じます。
近年の研究動向を振り返るとともに、ダイバーシティが声高に叫ばれる現状との関連も含め、現状の課題を検討し、今後の研究のあり方について考えます。
事前申込制・入場無料です。みなさま、ぜひご参加ください。

「ジェンダー研究における新展開——この10年と今後」
(New Directions in Gender Studies: The Past Decade and the Future)
日時 9月20日(金)12:30開場・13:00開始(18:15終了予定)
場所 明治大学駿河台キャンパス グローバルフロント1階 グローバルホール
登壇者 基調講演
江原由美子(横浜国立大学教授)
『日本における近年のジェンダー研究の展開ー非正規化と多様化の中で』
イルゼ・レンツ(独ルール大学名誉教授)※通訳あり
"New Directions in Gender Studies: Feminism, diversity and processual intersectionality"

パネルセッション
風間 孝(中京大学教授):セクシュアリティ研究
【概要】
日本では、1980年代半ばに始まるエイズ危機のなかで、(男性)同性愛者はナショナリズムの形成から排除されるべき存在として、また理解不能なセクシュアリティを持つ存在として可視化した。一方でこうした可視化は、同性愛者の社会運動を生起させたが、人権の主張は嘲笑の対象とされ、真剣に議論する対象とはみなされなかった。
こうした風潮は2010年代に入って大きく変化する。欧米圏を中心に性的マイノリティに対して人権を保障するグローバルな趨勢が日本にも影響を及ぼすようになり、経済の領域では性的マイノリティをは可処分所得を多く持つ消費者として注目されるようになったのである。また政治の領域でも、かつては同性愛者への施策の必要性を否定した政党が「性の多様なあり方について寛容の伝統を持つわが国は、悩みを抱える当事者の困難に政策的な課題として取り組むべきである」と主張するようになっている。性的マイノリティであることはナショナリズムの形成から排除されているとは言えない状況にある。
この報告では、80〜90年代と対比しながら2010年代における性的マイノリティをめぐる力学をホモナショナリズム、多様性、寛容等の概念を用いて分析をし、2010年代におけるセクシュアリティ研究の課題を提示したい。

兼子 歩(明治大学専任講師):アメリカ史・ジェンダー史研究
【概要】
1970年代以降に米国で盛んになった女性史研究は、近年ではジェンダー史研究として発展してきた。近年のジェンダー史研究の展開について、ここでは2点挙げる。
第1に、人種など他の権力関係を構成する社会的要素がジェンダーと交錯することによって生じてきた諸問題を検討する、インターセクショナルな歴史研究である。アメリカ史では人種とジェンダーの交錯が以前から研究されてきたが、近年、「白人性(の特権)」の構築とジェンダーがいかに結びついてきたのかを論じる研究が増加している。
第2に、アメリカ政治史にジェンダーを組み込む叙述である。従来、総合的叙述といえば既存の叙述に女性史・ジェンダー史を付加するものであったが、近年、政治史の展開においてジェンダーが不可欠の役割を果たしたことを、女性史および男性史研究の成果を交えながら叙述する研究が登場している。以上の点を、アメリカ史研究の具体例に即して論じたい。

藤本由香里(明治大学教授):表象・メディア
【概要】
ここ数年、もっとも変化したのはLGBT周辺の社会環境と表現である。少女マンガの中では、1970年代の初め頃から男装の少女、女装の少年、男同士の愛、女同士の愛……という形で既存のジェンダー秩序を問い直すような作品が次々と生まれてきていたが、それらは現実のゲイやレズビアンとは切り離されがちであった。しかしここへきて、現実とフィクション懸け橋になるような作品が次々と生まれてきている。もちろんその背景には、東京オリンピック決定を機に「ダイバーシティ&インクルージョン」が言われ始めた社会の動きがある。もう一つ特筆すべきなのは、最近では「ジェンダーレス男子」という言葉も聞かれるように、2000年代半ばくらいから、「女装男子」「スイーツ男子」「お弁当男子」など、男性文化への女性文化の取入れが進んできたことである。こうした、「性別」を問い直す表現の最近の動きを、海外の事例も交えて概観するとともに、今後の研究の課題を検討する。

牟田和恵(大阪大学教授):性暴力・ハラスメント:研究と運動の往還
【概要】
日本における性暴力およびハラスメント問題の展開を30年を遡って検討する。この30年のあいだ、研究は運動や実践と往還しつつ展開した。
1989年に登場した「セクハラ」概念は、別々に問題化されてきた性と労働を合わさったものとして社会的・学問的に浮上させた点で重要であった。法制化がすみやかに進んだものの、女性差別という観点とは乖離があった。次に2017年のMeToo運動から現在に続く反性暴力の動きとそれへの反動に注目する。17年に刑法177条改正が実現したが19年3月には性暴力無罪判決が相次ぎ、法曹の性暴力への無理解だけでなく、性暴力を告発することに対する反動が強く存在することが可視化された。これは「慰安婦」少女像への攻撃ともつながっている。
根源的なジェンダー平等の実現無しには、性暴力やセクハラ問題の真の解決は無い。途は遼遠にも思えるが、逆にこれらは、立場にかかわらず多くの女性たちが共有できる強力な梃子であるともいえる。

來田享子(中京大学教授):スポーツ・身体
【概要】
国内学会ではじめて、用語としてジェンダーを用いた研究が登場したのは1994年のことであった。他の学問領域に比べれば、およそ10〜15年程度遅れたと考えられる。この背景には、スポーツでは、身体の生物学的・医学的な違いが前面に押し出されやすいことがある。性別に競技することの意味と影響は、多くの場合、無批判に受け入れられてきた。こうした状況は、ジェンダー視点からの研究成果がスポーツの現実に浸透しづらいという課題をもたらした。同時に、他領域からみた場合の「スポーツをジェンダー視点で研究することの意義」が理解されづらいという困難さをもたらした。
報告では、上述のような研究の歩みや特徴を踏まえながら、1)近年の研究が「性別に競う」ことを前提とするスポーツにどのような影響を与えたか、2)ジェンダー・セクシュアリティに関わる差別や不平等の解消に向けて、スポーツと身体をめぐるジェンダー研究には何が求められていると考えられるのか、について考えたい。

 ※敬称略、五十音順
企画・コーディネート・司会 高峰 修(明治大学教授)
田中 洋美(明治大学准教授)
申込 https://forms.gle/WFyHD8edeDi7WrPp6
(受付期間:2019年8月26日(月) 00:00〜2019年9月18日(水) 00:00)※事前申込制
詳細 http://gc10.localinfo.jp

*上記申込フォームが利用できない方は、本センターメールアドレスまでご連絡ください。
【メール】gender■meiji.ac.jp(■を@に変えてください)