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名物研究室・授業紹介

研究室紹介

現在と未来を描き直すための歴史を

建築史・建築論研究室 【青井哲人】
 目の前の住まいや都市に「どこか奇妙だな」「なぜこうなのだろう」という感覚をもつとき、「歴史」への問いがはじまります。私たちが生きる時代とは、まさにこうした感覚が広く沸き起こっている時代だといえるでしょう。古いものが壊れ、先が見えない不安の中から新しいものが胎動する時代。さあ歴史の出番です。建築史・建築論研究室では、都市、社会、家族、構法と環境、建築家の役割などの多様なテーマを取り上げ、それらを新しい大きな歴史観で捉え直すためのリサーチ・プロジェクトを多彩なパートナーたちと学生たちとで動かしています。大事なのは自立性と構想力。海外の都市・集落、東北の津波被災地や原発被災地などのフィールドワークも展開していますので、みなさんぜひ参加を!

気候を読み解きデザインする

建築環境デザイン研究室  【樋山恭助】



 建物は、自然環境の中でヒトにとって好ましい室内環境を提供する器として出現し、世界各地で固有の気候と調和する形に発展してきました。しかし、近年のエアコン等の技術発展は、快適な環境を容易に提供することを可能にする一方で、自然環境との調和を建築設計から切り離してしまいました。結果、大量のエネルギー消費を伴う建物が世に溢れ、気候変動問題を深刻化させています。これからの建築物は、その原点に回帰し、自然環境と調和したデザインにより、エネルギー消費を抑制する必要があります。本研究室では、仮想空間上に構築した建物モデルを用い、建物のエネルギー消費構造と自然環境の関係を分析していくことで、省エネ建築物を実現するための研究に取り組んでいます。

安全なまちづくりの社会技術開発

都市計画研究室  【山本俊哉】



 災害や事故、犯罪等から安全で安心できるまちづくりを基本に、次世代を担う子どもを含め住民らが自らまちづくりの担い手になれる社会技術を開発しています。この社会技術とは、科学的な証拠に基づいて誰もが簡易に使える道具だてのことで、たとえば、災害のハザードマップをベースに後期高齢者の歩行速度を基準とした避難マップを作成してそれをもとに地区防災計画を立案するグループワークの手法はそのひとつです。一方、住民や利用者のアンケートからそうしたまちづくりや道具だてを評価する研究や、東日本大震災の復興まちづくりに対する専門家の関与について検証する研究も同時に進めています。これらを進めるため、学生たちも現地に赴き、得られた成果は海外にも積極的に発信しています。

バーチャル空間で心を探る

建築環境計画研究室  【上野佳奈子】



 人の感覚・心理を手掛かりに、さまざまな活動に応じた建築空間のあり方について研究しています。実際の建築・都市空間でのフィールドワークに加え、バーチャルリアリティ(VR)技術を使って環境を再現・制御し、より詳しく人の感覚・心理と環境条件との対応を調べる実験も行います。この実験環境の構築もひとつの研究テーマで、96チャンネルのスピーカを使って人の存在感や場の空気感までも高精細に再現する “音響樽”というVRシステムを開発して用いています。魅力的な空間創造のための基礎研究として、電気音響分野、認知科学分野など、周辺分野とも積極的に連携しながら、学生一人ひとりが自ら考え、動いて、課題と向き合うことを大切にしています。

“萌大空間スタイリング”と“着せ替えカフェ”に挑戦中

建築計画研究室  【園田眞理子】



 建築計画研究室は、人口減少、少子高齢化の進展、家族や生活スタイルの変化に対して建築空間をどうするかを日々考え、研究し、それらを基に計画やデザインを実践する研究室です。目下のところ、研究室全体で取り組んでいるのは“萌大空間スタイリング”と“着せ替えカフェ”です。前者は、空き家の急増に悩む不動産事業者とタイアップして、学生が考案した1/1スケールの段ボール家具とインテリア小物を使って住空間のイメージアップを図るものです。後者は、大学近くの団地内に開設されたコミュニティカフェのインテリアを、季節やイベントに合わせて、学生がDIYで次々に着せ替えていく試みです。「考えるだけでなく、常に実践する」、それが研究室のモットーです。

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授業紹介

力の流れ方を肌で感じる

構造デザイン 【熊谷知彦】



建築物を成り立たせるための要素のひとつとして「構造」があります。構造を学ぶには、力学などの物理を勉強する必要がありますが、それ以外の方法として実験によって、目で見て手でふれながら学ぶ方法もあります。この授業では、数式は使わずに、学生が机の上でできる簡単な実験によって、建築物に流れる力を体感しながら構造を理解することを目標としています。たとえば、建物に使われる構造形式のひとつであるラーメン構造を板材とホチキスを用いて製作し、斜め材である筋交の有無による硬さの違いを感じてもらいます。また、長さ30cmのオリジナルの橋を厚紙で製作し、耐えられる力を競うイベントも行っています。(写真は、厚紙でつくった橋の耐えられる力を計測している様子)
西洋建築史・近代建築史  【青井哲人】

「建築のはじまり?(M-A. Laugier, Essai sur L’Architecture, 18c)」

 建築の誕生、都市革命、一神教の発明—多様な達成を経て、産業革命から現代まで。建築はなぜ今見るような姿をしているのか。未来は?歴史を物語りながら、建築を考えるために不可欠な視点の数々を提供します。

建築材料や部材の壊れ方を体験する

構造・材料実験2  【晉沂雄】



 建物は柱・梁・床・壁等の部材によって構成されており、これらの部材は種々の建築材料からなっています。よって、自重・地震・風・雪・衝撃等の外力に対して建物や部材の安全性を判断するには、その建物に使用されている材料の特性を十分理解する必要があります。本授業ではさまざまな建築材料の特性に関する試験を実施するのみならず、材料の製作や施工方法を体験します。また、自ら設計・製作した鉄筋コンクリート造梁部材の加力実験を行い、部材の壊れ方を実際に目で見て観察します。本授業の学習内容をいかし、建築材料及び構造分野に関する理解を深めるとともに、1級建築士等に要求されるレベルの専門知識を習得することを目指しています。(写真は、鉄筋コンクリート造梁部材の製作の様子)

建築の構造を目で見て体験して学習する

構造・材料実験1  【熊谷知彦】



 日本に建つ建物は、重力だけでなく、地震、風、積雪等の力も受けることがあります。これらの力(荷重)に対して、建物を構成する部材(柱、はり等)は健全である必要があります。これを実現するためには、建物の構造について学習し、理解する必要があります。本授業では、受講生が構造実験、振動実験を通して、部材がどの程度の荷重でどのように壊れるのか、また、建物は地震に対してどのように揺れるのか等を実際に目で見て体験することで建築構造に関する理解を深めるとともに、構造に関して1級建築士等に要求されるレベルの専門知識を習得することを目標にしています(写真は、実際の建物にも使われることの多いH形鋼に荷重を加える構造実験の授業風景)。

建築環境の最重要課題—熱エネルギー制御

建築熱環境  【酒井孝司】



 地球環境問題への対応から、建築が使用するエネルギーを極力減らしつつ、快適な環境を提供する設計が求められています。このため当学科では、最高レベルのスタッフを揃え、充実したカリキュラム体系を構成しています。本授業はそのひとつで、受講生が、冷暖房エネルギーの低減および快適性維持のための専門的な事項について学習し、省エネかつ快適な建築空間を可能にする技術を身につけるとともに、エネルギー性能評価に関して1級建築士等に要求されるレベルの専門知識を習得することを目標にしています(写真は、授業風景の〈表面温度〉です。教室や人体の表面温度の変化をリアルタイムに把握しながら熱の移動現象について学習しています)。
理工学部