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名物研究室・授業紹介

研究室紹介

我々の社会における有機化合物の新たな役割を探して

機能有機化学研究室 【田原一邦】



 プラスチックス、医薬品、香料、色素など、有機化合物は我々の 社会で大きな役割を果たしています。私達の研究室では、有機合成化学の力を使い新しい構造を持つ分子を作り、それが我々の社会で果たす役割があるかを探索する、最先端の基礎研究を行っています。具体的には、効率的に電気を流すまたは光を放つ有機化合物の開発や、黒鉛などの炭素材料の表面をナノメートル(nm = 10–9 m)スケールで狙った通りに化学構造を変化させる分子の開発を進めています。この研究を進める過程では、これまでに知られている情報を集め、それを基に新たな試行錯誤を繰り返す必要がありま す。最先端の化学を題材に、理系学部卒に求められることが多い論理的思考能力や実験技術を培う機会を提供しています。

未来を拓く、努力の結晶

無機結晶化学研究室 【我田元】



みなさんは「結晶」と聞くと何をイメージするでしょうか?写真は我々の研究室で育成したブルーサファイアですが、ダイヤモンドやルビーといった美しい宝石の多くも結晶です。このように結晶というと美しい色や形をもった物質を想像するかもしれませんが、実は私たちの身の回りのさまざまな製品に使用されています。たとえば、スマートフォンやPCに必須の電子素子、電池、LED、触媒など、応用先は多種多様です。原子がきれいに整列した結晶を育成するには多くの努力が必要ですが、これら製品の性能向上だけでなく、今までにない新しい機能を引き出すために重要です。我々の研究室では「どのように結晶が成長するか?」を化学するとともに、「宝石から電子材料まで」多種多様の結晶を育成し、その材料応用を目指しています。

化学の力で健康寿命を延伸する!

生体関連材料研究室  【相澤守】



 健康で豊かな社会の実現を目指して、「化学」の力で人々の健康に貢献する「バイオマテリアル」を創製しています。バイオマテリアルはヒトの体に接して使用される材料です。コンタクトレンズもバイオマテリアルの一種です。我々の研究室では、骨や歯の主成分である「アパタイト(リン酸カルシウムの一種)」に着目し、新しい人工骨(写真参照)や再生医療に使用される細胞の足場材料(細胞の家!)、がん治療に貢献するセラミックス微小球(小さなピンポン玉)などを開発しています。写真は、我々が開発中の「ペースト状人工骨」です。これはハミガキのような粘性をもっており、注射器で骨折部位に注入できますが、15分程度でかたまり、自分の骨と結合して機能します。興味がありましたら、我々の研究室のHPもご覧いただければ幸いです。

バイオの力で医療に貢献

生物化学研究室  【本田みちよ】



 生物化学研究室では、生体内で遺伝子やタンパク質、細胞が “巧みに”、“機能的に”働く仕組みを解明することを目標に研究を行っています。そのひとつに、抗菌性タンパク質を利用した研究があります。多くの生物は抗菌活性を有するタンパク質を合成、分泌することで、細菌感染から身を守る生体防御システムを有していますが、その作用機序は不明な点が多いです。当研究室では魚類由来の抗菌性タンパク質に注目し、さまざまな種類の細菌に対して抗菌性タンパク質を処理することで、菌とタンパク質との相互作用を調べ、抗菌活性を発現するメカニズムを明らかにしようとしています。将来的には、その効果を化粧品や医療材料へ応用することで、自然界に存在するバイオの力で医療に貢献できる技術の確立を目指しています。

水の中のミクロな世界を見る!

応用物理化学研究室  【深澤倫子】



 「水の構造と機能」をキーワードに、水が関連するさまざまな物質の物理化学的性質を研究しています。水は身近な物質として知られていますが、科学的に見ると理解されていないことがたくさんあります。本研究室では特に惑星科学やエネルギー工学の分野で注目されるクラスレートハイドレート、環境科学の分野で重要な氷、医用材料等として応用性の高いハイドロゲル中の水を対象として研究を展開しています。写真の実験では、低温真空チャンバー中にアモルファス氷を生成しています。星間空間に存在するアモルファス氷は、アミノ酸の構成元素を含むため、生命起源物質に進化する可能性を秘めていますが、その構造や物性には不明な点が数多く残されています。

Artisticに有機分子を操る!

精密有機反応制御研究室  【土本晃久】



 医薬品・化粧品・栄養素・機能性材料など、有機化合物が活用・利用されている分野は多岐にわたります。活性や機能発現の中心を担う人工的な有機化合物は、既存の有機反応を駆使して創られますが、ここでの反応は効率面や環境調和の点で必ずしも理想的であるとはいえません。
 当研究室では、いかに賢く、いかに効率よく、いかに環境に配慮して、また、いかに芸術的に有機分子をつなぎ合わせることができるかを念頭に、「世界にひとつだけの有機触媒反応」の開発研究に取り組んでいます。マジカルワールドで有機分子を自在に操る、そんな世界を体験できるのが当研究室です。

環境負荷の小さな先端機能材料作製プロセスを開発

無機材料化学研究室  【渡邉友亮】

光触媒活性評価装置(水から水素を作る能力をはかります)

 どんなに素晴らしい環境機能を持った製品でも、製造の際に多大なエネルギーを消費するようでは環境にやさしいとはいえません。一例を挙げれば、省エネとして注目されているハイブリッドカー、確かに走行中に限れば燃費はよく省エネといえるでしょう。しかし本当に環境にやさしいのか?残念ながら現段階ではそうともいいきれません。本当に環境にやさしいモノとは、モノを作るとき、モノを使うとき、モノを維持するとき、モノを廃棄するとき、それぞれに必要とするエネルギーおよび環境負荷の合計が小さいモノを指します。そこで我々はモノを作るときのエネルギー消費を最小限にすべく、溶液プロセスを積極的に応用し、環境負荷の小さな先端機能材料作製プロセスを開発しています。

Meiji Now ようこそ研究室へ

在学生が研究室を紹介!

授業紹介

「化学の最先端を学ぶ」をテーマに将来の可能性を考える

応用化学概論2  【鈴木義丈】







 「応用化学概論2」は、最新の化学と社会で必要な知識をOB・OGに学び、幅広い視野と強い思考力を育むことを目的にした、学部3年生対象の必修科目です。
 応用化学科(旧:工業化学科)の卒業生を中心に設立された組織「明治応用化学会」のメンバーを講師役に招いて、最新の化学業界の現状、進路選びの経験、教職資格等の話を、議論を深めながら語っていただく授業形式をとっています。普段の授業とは違った視点で化学を学ぶことができます。化粧品メーカー、製薬会社、化学メーカー、機械製造会社、鉄道会社、中学高校などで活躍するOB・OGが、さまざまな分野の最先端を紹介します。そんな先輩たちから直接、化学の最新知識や情報が聞けるだけでなく、学生自身が将来の進路について考える機会を提供する場ともなっています。
 全14回の授業は、複数の講師陣によるオムニバス形式で行われ、1~8回は講義、9~13回は少人数制のゼミナール、14 回はまとめの講義となっています。9回からのゼミナールは10のテーマに分かれていて、学生たちはそれぞれ興味のあるテーマを選んで受講することになります。講師の顔ぶれによって毎年テーマは変わりますが、「香り」「環境」「水」「PETボトル」「空調」「放射線」「教師という仕事」「知的財産」など多彩な内容のゼミナールが開講されています。さらに理工学部では、現役大学院生や卒業生、学科教員が、大学院での学びについて語る「キャリアとしての大学院進学」という講演イベントも毎年開催しています。こうした講義やゼミナール、学部イベントに参加するなかで、学生たちは将来の進路について深く模索するようになっていきます。

多彩な化学実験で先端化学を学ぶ



 応用化学科では、Trinity Curriculum(三位一体の教育体系)を目指し、講義に加えて「応用化学実験」(実験室での化学実験)および「化学情報実験」(コンピュータ内での実験)に力を入れています。多彩な講義で化学の知識を学び、「化学情報実験」では分子の構造安定性や化学反応性、実験室では不可能な超高圧・超高温環境での実験などを計算シミュレーションにより解析します。「応用化学実験」では、化学分野のさまざまな実験を通して、基本的な実験操作を学ぶとともに、より専門的な実験技術を養います。講義・化学情報実験・応用化学実験を結びつけて学ぶことで、将来必要となる、実験を安全かつ適切に行う技術と考える力を身につけることができます。
応用化学実験1~ 4  【応用化学科専任教員】



 化学物質の反応や分析を行う化学実験は、化学の醍醐味です。応用化学実験1~4では、さまざまな化学分野の実験を通じて基本的な実験操作を修得するとともに、より専門的な実験も体験しながら化学の面白さを学べます。
化学情報実験1~4  【応用化学科専任教員】



  この授業では、コンピュータを使ったシミュレーション実験を行っています。あらゆる環境下での分子構造の安定性や、実験室では不可能な超高圧・超高温環境での実験を計算シミュレーションにより  解析するなど、目で見ることのできない物質の構造を考えたり、危険を伴う実験をコンピュータ上で行ったりします。フラスコを使わないもう一つの化学実験法を学べます。
 講義・化学情報実験・応用化学実験を結びつけることで、将来必要となる、実験を安全かつ適切に行う技術と考える力を身につけることができます。

新規な色素や触媒などのデザインが可能になる

錯体化学1・2  【長尾憲治】
 遷移金属イオンをある種の有機物と組み合わせて作るハイブリッド化合物、それが錯体です。このハイブリッドの組み合わせは無限に考えられ、錯体の性質をさまざまに変化させることが可能です。この仕組みの理解のために、錯体の形(立体)がもたらす遷移金属のd軌道の変化について学びます。これを基礎にすると、新規な色素や触媒などのデザインが可能になります。

複雑怪奇に見えるさまざまな有機反応を合理的に、楽しく理解

有機化学1  【土本晃久】
 高校生のみなさんが有機化学と聞いて思い描くイメージは「有機化学=暗記=大変」であろうか。実際、テキストに出てくる反応をすべて丸暗記しているのではないだろうか。本講義では、高校までに植えつけられた、そんな厄介な先入観をきれいに取り払います。キーワードは、元素の電気陰性度。これを基に、一見複雑怪奇に見えるさまざまな有機反応を合理的に、楽しく理解していきます。

身の回りで使われている高分子を学ぶ

高分子化学1・2  【永井一清】
 プラスチックやゴム、繊維などの高分子材料は、私たちの暮らしになくてはならないものになっています。コンビニに行けばパンやお菓子はすべてフィルムで包装されています。部屋の中にもプラスチック製品が溢れています。「高分子化学1・2」では、身の回りで使われている高分子がどのように合成され、どのように製品化されていくのかを学んでいきます。

「材料と生命機能との関連性」を明らかに

卒業研究「バイオマテリアル」  【相澤守】
 超高齢社会に突入した日本では「健康寿命の延伸」が重要な課題となっています。この卒業研究では上記の課題を解決するための素材のひとつである「バイオマテリアル」(「人工骨」や骨および肝組織を再生させるための細胞の家「足場材料」など)を化学の力で創りだし、その機能を細胞や実験動物を用いて評価しながら「材料と生命機能との関連性」を明らかにします。
理工学部