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名物研究室・授業紹介

研究室紹介

見えない世界を見てみよう

数学第6(幾何学)研究室  【今野宏】



 みなさんは「幾何」というと何を想い浮かべますか。高校までに学ぶ幾何は、ユークリッドにより紀元前300年頃に体系化されたもので、ユークリッド幾何と呼ばれています。19世紀前半には非ユークリッド幾何というユークリッド幾何とは全く異なる幾何の世界が発見されました。そして、19世紀から20世紀のはじめにかけて、ガウス、リーマンをはじめとする多くの数学者の努力により、幾何は大きく変貌をとげ、現代の幾何へと進化しました。
 現代の幾何では、さまざまな空間を調べます。これらを我々は直接目で見ることはできないのですが、こうした空間は、次元の高いもの、次元の低いもの、平らなもの、曲がっているもの、それぞれ特徴をもっています。そして、これらの空間は単なる空想の産物ではなく、宇宙や素粒子の世界を記述するのにも不可欠であり、自然界あるいはもっと普遍的な世界につながっています。このような「目に見えない世界を見る」、これが幾何の
おもしろさであり、私の研究室の目標です。

力学系ゼミナール

数学第2(微分方程式・力学系理論)研究室  【坂元孝志】
 時間の経過とともに状態が変化するシステムのことを力学系といいます。力学系の応用範囲は幅広く、物理や工学はもちろん、生物学における種の相互作用など、さまざまな現象の数理的な理解に役立ちます。当ゼミでは力学系の数学的な定式化から現象を理解するための応用まで幅広く学習するほか、力学系の大きなトピックのひとつであるカオスについても扱います。

可換環論ゼミナール

数学第14(可換環論)研究室  【松岡直之】
 0って何? 多項式の変数って何? なぜ と2は等しい? 高校までの数学では解き明かせなかった疑問はたくさんあります。当ゼミは、数や多項式がもつ本質的な性質だけを頼りに世界を創造していくことで、数や多項式を深く知ることを目標としています。その先にはまだ誰も知らない問題が、あなたの手で解かれることを待ち受けているはずです。

絵によって代数を理解し、代数を使って絵を描く

数学第10(可換環論)研究室  【蔵野和彦】



 平面上の放物線と直線が接しているときにはその接点での重複度は2になります。それは、片方の変数を消去すれば一次式の二乗になるからです。平面上の非常に単純な二つの曲線の交点数はこのようにして求めることができるのですが、これがもっと複雑で次元が高い二つの空間が一点で交わっている場合にはこう簡単ではありません。
 これを代数的に記述し計算することが私の現在の研究テーマです。私は、代数学の一部の可換環論という分野で研究を行なっております。代数学というと、「単なる文字式の変形」という殺伐としたイメージを皆さんは持っておられるかもしれませんが、そうではありません。上のテーマでもわかりますが、可換環論では、空間の性質を代数的に理解することを一つの目的としております。「絵によって代数を理解し、代数を使って絵を描く」これが、可換環論の魅力です。

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授業紹介

一生使える学び方を学ぶ

数学の方法1  【矢崎成俊】



 数学って、紀元前から続く最古の学問、かつ今の世界を動かしている最新の学問です。例えば、牛一頭にさらに一頭加わっても、鉛筆1本にもう1本加えても、1+1と表現できます。数学は具体的な対象を数字や演算を使って抽象的に表現する言葉です。人が考えることをはじめたとき数学も生まれ、数学抜きで文明は進化しません。だから最古かつ最新。えっ、数学はもう完成された学問だって?いやいや絶賛進化中。授業では先達の叡智を追体験します。そしてノートに自分の言葉で再構成し、自分の血肉となると新発見の喜びが待っています。このぐるぐるの図が「学ぶ」ということです。数学を通して一生使える学び方を学びます。本授業はその第一歩。この入門編を逃しては、実にもったいない。
数理教育2  【坂元孝志】



私たちの暮らしの中で、数学がどのように役立てられているか。身近な現象から社会問題、物理など、周辺分野と数学とのかかわりを学び、その意義を知ることが、意欲の向上とさらなる興味喚起につながります。教員や講師など、数学分野の教育者を目指す学生にも役立つ講義です。
解析学展望1・2



 卒業研究を開始した4年生を対象に、数学の「解析」と呼ばれる分野
で、現在どのような研究が行われているかを分かりやすく紹介する授業です。5名の教員がそれぞれの専門領域において、自然界のさまざまな現象を調べるために数学がどのように使われているかを語ります。大学院レベルの内容に接することができると好評です。
ゼミナールB 【野原雄一】



 学生自身がテーマを選び、勉強したことを発表したり仲間と議論する少人数の授業がゼミです(セミナーとも呼ばれます)。このゼミは幾何学を学ぶことを目的としていますが、代数や解析、物理から(幾何学にも関連する)テーマが選ばれることもあります。ゼミナールBで学んだことを基礎として4年次の卒業研究が行われます。

偏微分方程式はモノづくりの世界と深くつながっている

偏微分方程式  【廣瀬宗光】



 微分方程式とは、未知なる関数の微分を用いて表される等式のことです。「微分方程式2」では、特に偏微分方程式を扱います。“偏微分”は高校生のみなさんには馴染みの無い言葉だと思いますが、2つ以上の変数をもつ関数を「微分」しようとすると、このような概念が必要になります。実は私たちのまわりで起こっている自然現象や社会現象の多くは、その法則に基づいて偏微分方程式で表すことができます。そして、起点となる時刻における物質の状態(初期条件)と、あらゆる時刻における物質と外界の境目の状態(境界条件)を与えることにより、方程式を満たす関数(解)を求めることができれば、起点とした時刻以降「いつ・どこで・何が起こるか」という情報を得ることができます。つまり偏微分方程式は、自然現象・社会現象を数式化した「将来起こることを予測できる装置」ということもできるでしょう。
 したがって偏微分方程式は、社会に役立つ技術を開発する工学分野とも深くつながっています。たとえば、大きなビルを建てる際に倒壊が起きないように耐震性を計算したり、電気製品を作る際に過度な熱の上昇が起きないように工夫したりする場合にも、微分方程式2で学ぶ波動方程式や熱方程式(に類似する方程式)が大いに役立っていると考えられます。偏微分方程式の解を手計算で求めることは、ごく一部の方程式を除いて不可能ですが、コンピュータの発達とともに、その近似解を求めて現象を視覚化することは多くの場合可能となっているため、工学、医学、社会学などのさまざまな研究分野においても、その重要性はますます大きくなっています。
理工学部