みなさんは「幾何」というと何を想い浮かべますか。高校までに学ぶ幾何は、ユークリッドにより紀元前300年頃に体系化されたもので、ユークリッド幾何と呼ばれています。19世紀前半には非ユークリッド幾何というユークリッド幾何とは全く異なる幾何の世界が発見されました。そして、19世紀から20世紀のはじめにかけて、ガウス、リーマンをはじめとする多くの数学者の努力により、幾何は大きく変貌をとげ、現代の幾何へと進化しました。
現代の幾何では、さまざまな空間を調べます。これらを我々は直接目で見ることはできないのですが、こうした空間は、次元の高いもの、次元の低いもの、平らなもの、曲がっているもの、それぞれ特徴をもっています。そして、これらの空間は単なる空想の産物ではなく、宇宙や素粒子の世界を記述するのにも不可欠であり、自然界あるいはもっと普遍的な世界につながっています。このような「目に見えない世界を見る」、これが幾何のおもしろさです。