私は大学院のとき、仲間たちと一緒に、レーザーが自然に点いたり消えたりする現象(レーザーのパルス発振)を研究していました。普通のレーザーパルスは、周期的に繰り返す規則正しいもので、その仕組みもよくわかっていました。ところが、少し条件を変えてやると、全く周期性のない不規則な点滅が観測されます。なぜそのようなことが起こるのか、当時誰にもわかっていませんでした。私たちはその謎を解こうという意気込みに燃えて、明けても暮れてもそのことばかり考えました。そして、数ヶ月間の試行錯誤の結果、ついにコンピュータを使って不規則な点滅を再現することができたのです。私は、そのときの喜びと充実感が忘れられなくて、いまでも光の研究を続けています。私たちの発見は、ごく限られた分野のささやかなものです。科学の進歩の中では、ほんの小さな一歩ですが、それでも世界で誰も踏み出さなかった最初の一歩なのです。皆さんも卒業研究や大学院の研究で、このような発見にめぐり合えるかもしれません。明治大学の物理学科では、十数名の教員がそれぞれ独創的な研究に取りくんでいます。私たちと一緒に自然探求の旅に出る仲間を大募集しています。