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名物研究室・授業紹介

研究室紹介

次世代の電力ネットワークを構築

電力システム研究室 【電気電子工学専攻・川﨑章司】



近年、環境負荷軽減や原子力発電依存低減の観点から、再生可能エネルギーの導入が活発に進められていますが、その発電出力は天候に大きく左右されるため、出力やその基となる日射量の予測が必要となります。そこで、遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワーク等の機械学習により日射量を高精度に予測する手法を開発しています。また、再生可能エネルギーの大量導入により電力品質の悪化が懸念されています。この電力品質を改善・向上させるため、次世代連系インバータの開発やSTATCOMの試作などを行っています。新しい電力ネットワークとして,基幹系統と中小規模系統とがデジタルグリッドルータ(多端子型電力変換器)で接続され、非同期連系した電力網(デジタルグリッド)について共同研究を行っています。

光でつながる情報ネットワーク

光通信工学研究室  【電気電子工学専攻・中村守里也】



 インターネットを使わないで一日を過ごす日はないでしょう。今や、ネットは完全に私たちの生活の一部となりました。このネットをつないでいるのは、無線通信技術と光ファイバ通信技術です。みなさんが使っているスマートフォンは、近くのアンテナまで無線によってつながっています。その先が光ファイバです。光ファイバは、太平洋や大西洋を海底ケーブルで渡り、巨大なネットワークを構築しています。この光ファイバのネットワーク上をメールや動画など膨大な量のディジタル情報が流れており、その量は指数関数的な増加を続けています。本研究室では、この光ファイバのネットワークをより高速で使いやすいものにするため、新しい光変復調方式やディジタル信号処理の研究を進めています。

宇宙で利用できる高速物体認識

複合情報処理研究室  【電気電子工学専攻・鎌田弘之】



 最近のディジタルカメラやスマートフォンで写真を撮ると、人の顔を自動的に検出してくれます。これは、ディジタル画像処理による物体認識技術の応用です。また同技術は、近年では自動車の衝突回避のためのシステムにも応用され、より高い信頼性が望まれています。しかしながら物体認識などのディジタル画像処理は、画面の明るさやコントラストの影響や、処理に利用する計算機の能力の影響を受けやすいのが難点で、認識率がしばしば大きく変化することがわかっています。
 本研究室では、撮影した画像の特性に依存しない物体認識手法に関する研究を行うとともに、汎用コンピュータを利用するのでなくFPGAというディジタル回路を使った手法を提案しています。この手法は、現在、JAXAとの共同研究により、温度変化や放射線の影響の大きい月面探査衛星での高速クレータ検出手法として実用化されようとしています。

「脳活動」の可視化と医療への応用

健康医工学研究室  【生命理工学専攻・小野弓絵】



 ヒトの体は、脳や筋肉などを動かすために電気信号や化学物質による信号伝達を絶えず行っています。健康医工学研究室ではこうした脳・生体信号の計測や信号処理の解析技術を研究して、ブレイン・マシン・インターフェースを応用した脳卒中リハビリテーション装置の開発や、痛みや違和感の可視化、糖尿病患者の合併症や筋力低下の早期発見技術の開発などを行っています。
 医学部や病院との共同研究を積極的に行っており、医師らとチームを組んで研究を進めています。医工学は、電気と生命の知識を両方いかすことができる本学科ならではの分野です。工学者として医療に貢献し、幸せな社会を作りたい、そんなみなさんをお待ちしています。

人間の脳メカニズムを理解する

認知脳科学研究室  【生命理工学専攻・嶋田総太郎】



 人間の脳はさまざまな能力をもっていますが、そのメカニズムについては未解明の部分が多く残されています。本研究室では、近赤外分光装置(NIRS)や脳波計、アイトラッカー(視線計測)、モーションキャプチャ装置、心拍・筋電計などさまざまな最新の脳活動・生体計測装置を用いて、人間の行動・認知メカニズムの解明を目指しています。たとえばコミュニケーションをしている2 人の行動・脳活動の共通性の解析や、VRやロボット技術を用いて身体拡張感を感じているときの脳活動計測、脳活動データから義手などを直接操作するブレインマシンインタフェースの研究などを行っています。最新のAI 技術を駆使した高度な脳活動データ解析手法の開発なども進めています。

ナノテクで医療と健康科学に貢献

有機分子・バイオ機能材料研究室  【生命理工学専攻・加藤徳剛】



 当研究室では、生命科学や治療・診断技術の発展に貢献すべく、脂質分子やポリペプチドを用いた人工細胞膜、ドラッグ・デリバリー用のカプセル、バイオイメージング用のナノ発光体の開発など、分子や細胞レベルにおける材料開発を行っています。カプセルといってもみなさんがイメージするような薬のカプセルではありません。癌治療等で行われる遺伝子治療では、非常に小さなカプセル状粒子に薬を入れ、その粒子を目的の細胞の中に届ける必要があります。粒子と細胞膜の静電吸着や粒子表面の物質が、細胞内への粒子の入りやすさに関係しているため、表面の物質と電位をさまざまに調節した粒子を作製して、細胞内に入りやすい粒子を開発しなければなりません。また、金でできたナノ構造体の電子の振動とレーザ光線の電磁波を共鳴させると、特異な光学現象が起きます。こうした技術をレーザ治療や診断に応用するためのナノ構造体を用いた発光体の研究にも取り組んでいます。

授業紹介

生命活動における未知の仕組みを解き明かし工学へ

基礎生命科学  【池田有理】



 遺伝子・細胞・代謝・免疫・発生・組織・器官・進化などを取り上げながら、人体を中心とした生命のシステムを階層的に学びます。生命活動における未知の仕組みを解き明かし、工学的に応用するための素養を身につけます。 

プログラミングで課題解決に取り組もう

コンピュータシミュレーション1・2  【川﨑章司】



 コンピュータシミュレーションの授業では、自然界に見られるさまざまな物理現象を仮想的にコンピュータ上につくりだす実験を行います。この実験を学べば複雑な問題もあっという間に解くことができるようになります。さらに電気電子生命分野の基礎となる電気回路や電磁気学などで学習する理論の内容を、具体例を通してわかりやすく学ぶことができます。
 プログラミングの実習では、少人数のグループに分かれて一人ひとりが実際にパソコンに向かい、プログラムの作成と実行を行います。その後、プログラミングの工夫点や実行結果の考察などを発表し、グループ内で質疑応答を行いますが、結果をそれぞれが発表することでプレゼンテーション能力もおのずと身についていきます。

学生を専門分野へと導く入口

電気電子生命実験  【井家上哲史】





 理工学部の教育カリキュラムには、体験のなかから理学や工学の基礎を学べる「実験授業」が数多く導入されています。電気電子生命学科2・3年次の必修科目「電気電子生命実験」もそのひとつです。電気電子生命学科が扱う研究分野は多岐にわたり、「環境・エネルギー」「新素材・デバイス・ナノテクノロジー」「情報制御システム」「通信ネットワーク」の4つからなります。こうした4つの分野の基礎理論に基づく実験を、2~3名の小グループに分かれて行うのが、この授業です。半期ごとにクラスを交替しながら、それぞれの分野の実験を一通り体験するため、学生たちは実験を通じて、電子回路、電子物性、生命科学、通信システムなど、幅広い領域にまたがる基礎理論を学んでいくことになります。
 実験授業は、座学で得た知識や理論に対する理解を深めることとともに、学生たちの興味の対象を広げる役目も果たしています。理工学部には「将来、何をテーマに研究すべきか?」を迷いながら入学してくる学生もいますが、実験授業でさまざまな分野を学んでいくなかで、おのずと自分の特性や興味に気づき、将来進むべき道が見えてきます。つまり、実験授業は、学生を専門分野へと導く入口ともなっているのです。

電気系において根幹をなす学問

電気磁気学1・2  【電気電子工学専攻・野村新一】



 電気電子工学専攻では、社会の発展に伴って生まれてくるエネルギー問題などの新たな問題解決のために、電気、電子、情報、通信などのさまざまな分野から取り組んでいます。たとえば、電気自動車に関連する研究ではエネルギー貯蔵、モータの高効率化、制御システム開発などの問題に、また、スマートフォンに関連する研究では低消費電力集積電子回路、信号処理、無線周波数の有効利用、超高精細ディスプレイ開発、通話時の音質改善などの問題に取り組んでいます。
 この電気磁気学の授業では、工学分野、とりわけ電気系において根幹をなす学問です。高校までの勉強とは大きく違い、大学1年生から電気や磁気の目に見えない空間を直感を働かせて考え、本質を見極め体系立てて整理する能力が求められます。

最先端のバイオメディカル分野を支える計測技術について学ぶ

医用生体計測  【生命理工学専攻・工藤寛之】



 生命理工学専攻では、電気電子工学の4つの研究分野において医療や生命科学とのかかわりが深い、医工学、脳神経科学、ナノバイオテクノロジー、創薬科学などの複合分野の研究を推進し、「電気+生命」をベースに、新しい医療技術ならびに健康科学の分野を開拓し、活躍する最先端の人材を育成します。生命科学と電気工学の両方の知識をいかして、医用電子機器の開発職や、バイオテクノロジーの新しい産業への応用を推進する技術者・研究者としての活躍が期待されます。
 この講義では、生体内部の様子を調べるX線CTや超音波検査装置など、最先端のバイオメディカル分野を支える計測技術について学びます。写真は眼部の組織学的な説明を交えながら新しい医療用デバイスについて解説しているところです。
 体温計が38度を指している時、多くの人は風邪を引いたかな?と考えます。しかし、この講義では、これを大学での基礎的な学習内容に基づいて、「生体内の反応」や「半導体内の電子の振る舞い」のレベルにまで掘り下げます。
発熱はウィルスなどの侵入により免疫機能が働き、血管の収縮など熱放散の抑制と、熱産生の増加が生じている状態です。電気系基礎科目を学べば、体から体温計内のサーミスタへの熱伝導、半導体中のキャリアの生成と電気伝導、測定のための基本回路まで詳細に説明できます。
個別に学んできた幅広い学習内容が「医療」という一つの応用に向けて集約され、身近な血圧計、体温計などからMRIなど先端的な医療機器まで、「実際に役に立つもの」へと変わっていく、専門科目の魅力が体験できるでしょう。

さまざまな分野において大きな役割を担うようになる情報理論について学ぶ

情報理論  【中村守里也】
 ネット動画の多くはMPGといった形で「圧縮」されています。またCDに刻まれた溝から途切れることなく音楽を再生するためには「誤り訂正」という技術が使われています。このようなデータの「圧縮」や「誤り訂正」は情報理論を基にして実現されています。授業では通信ネットワークをはじめ、今後さまざまな分野において大きな役割を担うようになる情報理論について学びます。

次世代の通信ネットワークの発展を支える電子回路の仕組みや理論を学ぶ

電子回路1・2  【関根かをり】
 電子回路は、電子・情報・通信・生体工学の各分野の機器を実現するために必要不可欠なものです。身近な家電の多くに集積回路(IC)が使われていますが、なかでも今や生活に欠かせない道具となったケータイやスマホは、IC技術を結集した最先端の電子機器といっていいでしょう。授業では、こうした次世代の通信ネットワークの発展を支える電子回路の仕組みや理論を学びます。
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