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理工学部

物理学系セミナー開催のお知らせ(10/16)

2009年10月06日
明治大学

題目:『 高分子ポリイミドを用いた光配向機構の検討 』

講師:水沼 達郎(基礎理工学物理学系博士課程3年)

日時:2009年10月16日(金) 16時20分〜17時50分

場所:第二校舎A館2階 A208教室


講演要旨:
液晶ディスプレイにおいて液晶分子の配向制御は、必要不可欠な構成要素であり配向剤として主にポリイミドなどの高分子の薄膜が採用されている。現在はラビング法が主流であり、極めて簡便なプロセスであるため、液晶ディスプレイの生産ラインの殆どで取り入れられている。しかしこの方法では、物理的に高分子膜を摩擦することから塵や静電気が発生し、配向膜損傷、引いては液晶ディスプレイの欠陥生成につながることが問題視されている。こういった問題を回避するために、イオナイザーの導入、ダクトによる排気といった様々な対策が必要となっているが根本的な解決にはなっておらず、製品の歩留まりを左右する要素となっている。このような状況の中、様々な非接触による次世代配向プロセスが提案されている。その一つである光配向法は、ポリイミド薄膜などに直線偏光紫外線を照射する事によって、方向選択的な化学反応を誘起し、それによって液晶配向能を付与する方法である。非接触かつクリーンなプロセスであり、ラビング法の代替プロセスとして実用化が期待できるものとされている。光配向法は1991年の報告以来、様々な基礎的検討が行われているが、その配向メカニズムは未だ明らかになっていない。また現状では、光配向膜は、液晶分子の立ち上がり角であるプレチルト角の制御が困難であること、液晶分子を束縛する力、アンカリングエネルギーがラビングのそれに比べて弱いことなどの問題点から実用化には至っていない。そこで本研究では、光配向メカニズムについての知見を得ることにより、上述の問題を解決し実用化に向けた指針を得るための足がかりとすることを目的としている。当日は講演者がこれまで行ってきた研究成果について報告するとともに時間があれば光配向法の最近の動向についてお話したい。


水沼達郎君は現在当物理学系博士後期課程院生です。このほど博士論文の仕事がまとまりつつありますので、講演をお願いしました。学部生、院生、教員の皆様のご参加をお願い申し上げます。

(連絡先:松本節子 tel:044-934-7264、smatumo@isc.meiji.ac.jp)  
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