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理工学部

理工学部・鈴木秀彦講師のグループが、「夜光雲」の国内初観測に成功

2015年07月08日
明治大学 理工学部事務室

明治大学(理工学部・鈴木秀彦講師)、北海道大学低温科学研究所、名古屋大学太陽地球環境研究所、駒澤大学、国立極地研究所、情報通信研究機構の研究グループは、2015年6月21日02-03時(日本時間)にかけて、北海道内の陸別町にある名古屋大学太陽地球環境研究所陸別観測所短波ドップラーレーダー観測施設、幌加内町の同研究所母子里観測所、名寄市のなよろ市立天文台および紋別市のオホーツクタワーにおいて、国内初の夜光雲の観測に成功しました。複数のカメラ画像データを使用した観測により、高度約80-90 kmの夜光雲を検出・同定したのは日本国内で初めてです。

夜光雲は、高度80-90 kmの中間圏界面と呼ばれる領域において、氷の結晶が太陽光を散乱して光るものであり、通常は極域(緯度60度以上)の夏期に見られ、地球温暖化などのグローバルな環境変動と関連している可能性がある現象として注目されています。近年フランスやアメリカの中緯度地域においては、年に数回観測されていましたが、日本国内で観測されたのは初めてです。今後、科学的な解析を進めることで、地球温暖化との関連も解明されてゆくと期待されます。

鈴木秀彦講師のコメント

夜光雲は極中間圏雲(polar mesospheric cloud)とも呼ばれており、本来は高層大気が低温となる極地域の夏期間に頻繁に見られる現象です。中緯度である北海道で初めて夜光雲が観測されたことは、高層大気における寒冷領域の拡大など、グローバルな環境変動と関係している可能性もあります。夜光雲は直接探査が難しい超高層大気物理の謎を紐解くカギとなる貴重な現象なので、今後も継続して観測をすることが重要です。
ちなみに、夜光雲は肉眼ではもちろん、一般的なデジタルカメラでも捉えられる現象です。夏期の北海道などで、日没後または日出前に青白く輝く雲が現れたら、夜光雲の可能性がありますので、ぜひ当研究室までご報告ください。

北海道名寄名市のなよろ天文台において、2015年6月21日2:29 JSTに撮影された夜光雲(撮影: 明治大学 鈴木秀彦 講師)北海道名寄名市のなよろ天文台において、2015年6月21日2:29 JSTに撮影された夜光雲(撮影: 明治大学 鈴木秀彦 講師)

北海道足寄郡陸別町の陸別観測所短波ドップラーレーダー観測施設において、 2015年6月21日2:24:54 JST から北の空を25秒露出。夜光雲特有の筋状の構造がレーダーのタワーの向こうに写っている(撮影: 名古屋大学太陽地球環境研究所 西谷望 准教授)北海道足寄郡陸別町の陸別観測所短波ドップラーレーダー観測施設において、 2015年6月21日2:24:54 JST から北の空を25秒露出。夜光雲特有の筋状の構造がレーダーのタワーの向こうに写っている(撮影: 名古屋大学太陽地球環境研究所 西谷望 准教授)

陸別(左)、名寄(中央)、紋別(右)について夜光雲が高度85kmにあると仮定して、地図上に投影した夜光雲分布図。ほぼ同じ観測時刻のデータを使用しており、これらの画像について高度85kmを仮定して地図上に投影したときのみ、発生位置が一致していることから、今回の現象が高度85kmに発生した夜光雲であることは確実である陸別(左)、名寄(中央)、紋別(右)について夜光雲が高度85kmにあると仮定して、地図上に投影した夜光雲分布図。ほぼ同じ観測時刻のデータを使用しており、これらの画像について高度85kmを仮定して地図上に投影したときのみ、発生位置が一致していることから、今回の現象が高度85kmに発生した夜光雲であることは確実である

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