データ化学工学研究室(金子弘昌専任教授主宰)から発表された論文が、国際学術雑誌 Journal of Chemical Information and Modeling における Volume 66, Issue 12 (2026) の表紙絵を飾りました。
有機半導体は、軽くて曲げられるディスプレーや太陽電池などへの応用が期待される一方、分子構造の候補が膨大で、高性能な材料を一つずつ計算・評価するには多大な時間と費用がかかります。本研究では、人工知能(AI)による分子生成と性能予測、有望な候補を選びながら学習を繰り返すベイズ最適化を組み合わせ、電気を運びやすい有機半導体分子を効率よく設計する手法を開発しました。AIに約25万種類の分子構造を学習させ、電荷移動に伴う分子構造変化のエネルギーで、値が小さいほど電気を運びやすい「再配向エネルギー」に着目して探索しました。合成のしやすさを意識して環の数を8以下に絞った結果、硫黄原子を窒素原子に置き換えるわずかな修正により、従来データの最小値を下回る新規候補を計算上見いだしました。この分子は、電気を運ぶ正孔の移動しやすさが置換前の約4.8倍となりました。さらに探索を繰り返し、高い正孔移動度を示す別の候補も抽出しました。解析から、再配向エネルギーだけでなく、分子の形や分子同士の並び方も電気の流れやすさを左右することが示されました。本成果は、実験前に有望な材料候補を絞り込み、次世代電子材料の開発を加速するための基盤となります。