明治大学理工学部応用化学科の李ウォンソク助教が筆頭著者および責任著者として発表した論文が、Cellの姉妹誌である国際学術誌「Matter」(5-Yearインパクトファクター19.2)に2026年8月に掲載されました。
生物は、内部の化学反応を利用して自律的に動き、周囲の環境に応じて形を変えています。しかし、生体内では多数の反応や構造が複雑に関係しているため、その基本的な仕組みを直接明らかにすることは容易ではありません。そこで、生命の特徴を単純化した人工材料を用いて再現することにより、自律的な運動や形状変化を生み出す基本原理の解明が試みられています。
本研究では、周期的な化学反応によって自ら変形を繰り返す中空ハイドロゲルカプセルを作製し、材料の硬さ、反応条件、温度を変えてその動きを解析しました。その結果、カプセルに現れる不規則な揺らぎや大きな周期的変形が、「化学反応の時間」と「材料が変形に応答する時間」の比によって統一的に整理できることを明らかにしました。
このように、生命現象を単純化した人工材料から得られた基本原理を利用することで、個々の材料組成や実験条件を一つずつ試すのではなく、化学反応と材料応答の速度のバランスから、どのような変形が生じるかを予測できる可能性があります。将来的には、目的とする動きに応じて材料の硬さや反応条件を設計することで、自律的に動くソフトロボット、人工細胞モデル、センシング材料などの開発につながることが期待されます。
本研究は、明治大学と東京大学による共同研究の成果です。
【論文タイトル】A universal chemo-mechanical scaling law governs autonomous shape selection in active soft capsules
「化学反応で自ら形を選ぶ「人工細胞型カプセル」の普遍法則を発見」