Go Forward

理工学部

田中教授が空間構成を手がけた夢幻能『オセロー』がヴェネツィア・ビエンナーレ演劇部門のオープニング作品として上演!

2026年08月18日
明治大学 理工学部事務室

田中友章教授が空間構成を手がけたSPAC 夢幻能『オセロー』(演出:宮城聰)がイタリアの「ヴェネツィア・ビエンナーレ2026」演劇部門オープニング作品として招聘され、2026年6月7日・8日の2日間「Teatro Piccolo Arsenale」で上演されました。
 
ヴェネツィア・ビエンナーレは、1895年の創設以来、世界中の芸術家や表現者が集う最高峰の国際芸術祭として知られています。美術をはじめ、建築、映画、演劇、ダンスなど、多彩な表現分野が展開され、演劇部門は今年で開催54 回目を迎えました。日本の劇団がこの演劇部門に招待されるのは今回が初めてで、宮城聰率いるSPACはその歴史的なオープニングを飾りました。上演作品の『オセロー』は、ヴェネツィアを舞台とするシェイクスピアの傑作悲劇です。これを、宮城は日本の伝統芸能である能の中でも完成度が高いと言われる「複式夢幻能」の形式を用い、亡き妻デズデモーナの視点から描き直しています。東西の文化を融合させた本作は、演劇部門の芸術監督を務める俳優ウィリアム・デフォー氏の熱いリクエストにより上演が実現しました。
 
会場となったのは、ビエンナーレのメイン会場のひとつ「Teatro Piccolo Arsenale」。ヴェネツィア共和国時代の造船所跡を劇場に改修した会場で、劇中でオセローが乗船した軍艦もここで造られたと解釈できる作品と縁の深い場所です。会場には国内外から多くの観客や演劇・美術関係者が来場、終演後はスタンディングオーベーションが会場全体に広がりました。イタリア国内のメディアからは、宮城の独創的な演出に加え、繊細かつ象徴性に富んだ舞台美術(空間構成)、俳優たちによる生演奏が生み出す壮大な音楽空間、そして俳優陣の身体表現と語りの豊かさが高く評価されました。
 
夢幻能『オセロー』は、もともと宮城が主宰していた劇団ク・ナウカが、東京・上野の東京国立博物館にある日本庭園内の特設能舞台で2005年に上演したのが、世界初演となります。当時、本学の兼任講師をつとめていた田中が、この仮設の能舞台の設計を手がけたのがきっかけとなり、その後の2018年のSPACでの再演、今回のヴェネツィアでの欧州初演において、継続して田中教授が空間構成を手がけています。
 
東京・上野に江戸時代に敷設された寛永寺に由来する日本庭園に、2週間の上演のために仮設された能舞台は、3間四方の能舞台、地謡座、後座、橋掛かりという基本要素から構成され、背後に広がる池や対岸に立つ茶室・転合庵と相互に関係を取り結ぶ空間構成となっていました。建築家・磯崎新の設計によるグランシップの静岡芸術劇場では、能舞台の基本構成はそのままに、室内の劇場空間への移設に伴って失われた池や転合庵の不在を、背後にある向こう岸の場所との境を隔てるように垂れ下げられた「吊るし雛」と、対岸に位置する「古井戸」のような水面へと転写した空間構成となっています。今回の舞台では、厳しい運搬や設営に関わる与件に応えるために、抽象度を高めて「吊るし雛」と「古井戸」をヴェネツィアという場所に相応しいように再転写した空間構成となっています。
 
成功裏に上演を終えたヴェネツィア公演に引き続いて、夢幻能『オセロー』は静岡芸術劇場で、TECH BEAT Shizuoka 2026関連イベントとしての特別公演が7月23日(木)に上演され、8月1日(土)、2日(日)には、韓国の居昌(コチャン)国際演劇祭において、約20年ぶりに野外劇場での上演が行われました。

※本記事は、SPAC-静岡県舞台芸術センター制作によるプレスリリースをもとに、一部加筆・修正しています。

ヴェネツィア・ビエンナーレ公演の様子ヴェネツィア・ビエンナーレ公演の様子

居昌国際演劇祭での公演の空間構成居昌国際演劇祭での公演の空間構成

理工学部