このたび本学理工学部建築学科の山本俊哉研究室が「逃げ地図づくりを通した世代間・地域間のリスク・コミュニケーションの促進」と題した業績で、日本建築学会教育賞(教育貢献)を受賞しました。この賞は、近年中に実践され建築教育の発展に貢献した優れた教育プログラム・教材等を表彰するもので、山本俊哉研究室が2012年から東日本大震災の被災地等で共同して研究開発を進めてきた日建設計ボランティア部や千葉大学木下勇研究室、山本俊哉教授が代表理事を務める一般社団法人子ども安全まちづくりパートナーズと共同受賞しました。
受賞の対象となった逃げ地図は、災害時に高齢者が避難場所まで歩行してたどり着ける経路を3分ごとに色分けして避難方向を図示した地図であり、東日本大震災の経験と教訓を踏まえて考案され、実践的な研究が積み重ねられました。山本俊哉研究室では、研究室に所属する大学院生や学生たちが三陸沿岸のほか、南海トラフの巨大地震による被災が予想される地域にも出向き、地域住民や小・中学生らが作成する逃げ地図づくりのファシリテイターを務めてきました。そして、その成果を実施マニュアルやアーカイブズにまとめるとともに、世代間や地域間のリスク・コミュニケーションの促進効果を検証してきました。また、津波からの逃げ地図づくりの手法を土砂災害や地震火災からの避難にも応用して試行を重ね、秩父市では土砂災害からの逃げ地図づくりをもとに地区防災計画の立案までつなげました。さらには、アーティストで本学大学院博士後期課程に所属する森脇環帆さんが逃げ地図づくりにアートやゲームの要素を加えた防災教育プログラムを開発し、子どもから大人まで幅広く人々の関心を引きつけ、地区防災の取り組みの裾野を広げました。