応用科学化の精密有機反応制御研究室(土本研究室)から発表された学術論文 "Quaternary Ammonium Salts: Catalysts for Hydrosilylation of Alkynes with Hydrosilanes” が、2023年に Adv. Synth. Catal. (当時の impact factor = 5.4) 誌に発表された論文の中で、最も読まれた論文 TOP 10% に選出されました。

研究内容:
アルキン(炭素・炭素三重結合を持つ化合物)にヒドロシランの H–Si 結合を付加させる、アルキンのヒドロシリル化反応は、これまで、白金、ロジウム、パラジウムといった、希少で高価な金属からなる化合物を触媒に利用して実施されてきました。金属触媒の活性中心を司る金属の精製・精錬には、おがかりな設備と多大なるエネルギーが必要であり、これは、限られた資源・エネルギーの有効活用の観点からは、一つの要改善課題でありました。
一方、該当の論文では、アルキンのヒドロシリル化反応を、金属触媒に頼ることなく、有機化合物を触媒に用いて実現することに、実質世界で初めて成功しました。有機化合物は、少量から精製可能であるので、大掛かりな設備やエネルギーは、金属の精製と比べると、小さく、少なくすることができます。
この点が科学コミュミニティーの注目を浴びた要因であると思われます。
アルキンのヒドロシリル化反応は、特に、材料科学の点で重要なアルケニルシランを合成できることから、有機合成化学的に重要な反応に位置付けられます。
本研究は、発表当初から、多くの注目を浴びてきました。
まず、論文自体が VIP(Very Important Publication)に選出されていることに加えて、研究内容のグラフィックが、掲載雑誌(2023年、24年版)のカバーピクチャーにも採用されています。
現在土本研究室では、本研究に関連する研究について研究活動を継続しています。第二弾、第三弾、にご期待ください。