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【理工学部】2019年度複合領域科目「国際実習」タイプログラム実施報告

 理工学部では、2019年9月3日(火)から9月13日(金)にかけて複合領域専門科目「国際実習」タイプログラムを実施しました。「国際実習」は、国内における事前学習(主に初級タイ語・タイ文化)とバンコク及びその近郊における講義・実習(企業・工場訪問)、並びに現地大学生との交流プログラムで構成され、秋学期集中講義(修得単位数:1単位)として位置づけられています。
 「国際実習」は、海外での体験を通じて国際感覚を養い、視野を広げるとともに現地で働く技術者やビジネスパーソンの声を直接聞くことで、自らの将来を考えるキャリア学習としての側面も担っています。これまで、2015年度の試行を含めて4回実施されており、5回目にあたる2019年度は学部2、3年生13名が参加しました。またこの実習は建築学科の独自プログラム(18名参加)と連携して実施しており、日程の約半分は合同のプログラムで運営されました。

9月4日(水)



 4日の未明にバンコク・スワンナプーム国際空港に到着し、宿泊先であるFXホテルに移動しました。その後、アセアンセンターにてウィライラック先生より現地での安全ガイダンスを実施していただきました。昼食は全員で代表的なタイ料理をいただきました。

9月5日(木)



 シーナカリンウィロート大学(SWU)人文学部日本語学科の学生達との交流プログラムとしてバンコク市内観光ツアーを実施しました。このプログラムは、本学の学生に対しては現地の文化、歴史、考え方などに触れる国際実習として、またSWUの学生にとっては日本語でのやり取りや説明を行う実習として、両校それぞれの教育プログラムの中で実施されました。学生達は8つのグループに分かれて事前に連絡を取り合うことで交流を深めながら訪問先やスケジュールを検討しました。またグループによってはこの日だけでなく、実習期間中に両校の学生同士で食事に行くなど、より親睦を深めました。

9月6日(金)



 タイ味の素アユタヤ工場を訪問しました。同社のタイ国内における事業展開について英語で説明を受けた後、製品の歴史や現地の作物からグルタミン酸ナトリウムを製造する工程について工場内の見学ブースで学習しました。また、見学後には駐在員の方と意見交換を行い、学生達が自身のキャリアについて考える機会となりました。特に、最終製品との関連が見えやすい応用化学科の学生にとっては、同社は訪問前から興味の対象であったようですが、その製造工程では機械や電気をはじめとしてあらゆる分野の技術者に活躍の場があることを知り、多くの学生が視野を広げ、興味を持つきっかけとなったようです。

 

9月7日(土)



 本学アセアンセンターにて、ウィライラック先生より食事の注文や買い物などに関連したフレーズを中心に初歩的なタイ語についての講義を実施していただきました。受講している学生達は真剣そのもので、現地に着いてからの3日間で、「日本から外に出ればその国の言葉が必要になる」というごく当然の事実に直面し、外国語でコミュニケーションを取ることへの意欲が掻き立てられている様子が感じられました。続いてシーナカリンウィロート大学のサリーポン先生よりタイ経済についての講義がありました。この講義は、発展著しいバンコクだけを見ているとなかなか気がつくことができない農村部と都市部の深刻な経済格差に目を向けるきっかけとなりました。また日本から進出している企業が単にそこで収益を上げるだけでなく、その地域と共に成長していく姿勢や、その地域の経済の発展のために果たしている責任についても考えさせられました。

 

9月8日(日)



 エクスカーションとしてアユタヤ歴史公園を訪問しました。主要な遺跡を訪問したのち、自由行動時間を設けました。語学学習や国際交流の成果を活かして各自でトゥクトゥクをチャーターし、水上マーケットや象に乗っての市内散策、屋台料理を楽しむなど、プランを実現していくプロセスを体験しました。

 

9月9日(月)



 タイカジマを訪問し、工場の建設現場を見学させていただきました。建設現場では実際に建設中の建物内に立ち入って現場の様子を見学させていただきました。現地の風土に合わせた建築設計や日本の品質管理を考え方の異なる現地の従業員に理解してもらうためのコミュニケーションの重要性などについて説明していただきました。

 



 見学の後、市内に戻り現地の駐在員の方との座談会を実施しました。座談会では多数の本学OBに参加していただき、グループに分かれて現地での生活ぶりや海外事業に携わるようになったきっかけ、タイ以外での駐在経験などざっくばらんに話を聞くことができる、大変貴重な時間でした。

 

9月10日(火)



 午前と午後に分けてタイ明電舎及びバンコク市内を走る地下鉄MRTの路線の一つであるPurple Lineの車両基地 (Khlong Bang Phai)を訪問しました。同社の事業内容について日本語及び英語で説明を受けました。特に、本学OBの横山氏からはタイのみならず東南アジア全体での事業展開について詳しい説明があり、新しい地域に事業を広げていく苦労や駐在員としての心構え、語学の重要性などについてもお話しいただきました。参加した学生達にとっては、現地で訪問したいくつかの企業で同社との関わりを見たり聞いたりしていたこともあり、B2B企業についての理解が進み、同氏の話に興味深く耳を傾けていました。

 



 午後は横山氏に加えて同じく本学OBの石黒氏(JERA)にも同行していただき、MRT車両基地を訪問しました。Purple Lineではタイ明電舎の変電・配電設備が採用されています。電力設備については同行していただいた石黒様からも大変わかりやすく解説していただきました。また新しく稼働した車両の運行管理システムを見学しました。この訪問では、企業の活動に加えて日本から遠く離れた場所でも企業を超えて本学卒業者の「つながり」があることを実感し、参加した学生達は自身の将来に期待を抱くことが出来たようです。

 

9月11日(水)



 午前中にLaemchabang工業団地にあるMitsubishi Motors (Thailand) Co. LTDを訪問して同社の事業内容や自動車の生産工程を見学した後、Techno Metal (Thailand) Co. LTDにて自動車部品等の鋳造を行う工場を見学しました。Mitsubishi Motorsでは港に近い工場の立地を活かした輸出拠点としての同工場の位置付けや自動車製造に関わる物流などについても説明していただきました。また同社の本学OBにも参加していただき、業務の内容や将来に向けたアドバイスをいただきました。工場内ではプレス工程や溶接、部品の組み付け、点検などの工程について、高い品質と低コストを両立する工夫や工場内のレイアウトについて解説していただきました。

 



 午後のTechno Metal (Thailand) では会社紹介の後、過給機のハウジングなど自動車部品の鋳造工程を見学しました。アッセンブリの工場とは異なる、材料の段階から部品を製造するものづくりの現場では砂型の製作工程や溶解した鉄を型に流し込む工程、現地の労働力を活用し、製品が仕上げられていく様子を間近に見ることが出来ました。また、見学後のディスカッションでは、同社の物作りに対する考え方やコミュニケーションの重要性などについてご教示いただきました。

 

9月12日(木)



 チュラロンコン大学を訪問し、キャンパス内を見学しました。学生からの報告からは、一人一人に新しい気づきがあり、学生達の着眼点や積極性など短期間の滞在の中でも著しい成長が感じられ、教員にとっても驚きがありました。午後は夕刻まで自由行動時間を設け、学生達は出発のギリギリまでバンコクでの滞在を満喫しました。その後は深夜便で帰国しましたが、空港までSWUの学生達が見送りに来てくださる嬉しいサプライズがありました。13日の早朝に羽田空港に到着し、解散しました。

 

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