入試情報
理工学部では、2025年8月26日(火)から9月5日(金)にかけて複合領域専門科目「国際実習」タイプログラムを実施しました。「国際実習」は、バンコクのシーナカリンウィロート大学(SWU)校内にある明治大学アセアンセンターを拠点にタイで事業展開する日本企業の訪問や現地の講師による特別講義、並びに現地大学生との交流プログラムで構成される9泊11日の実習プログラムと、国内での事前学習・成果発表会で構成される秋学期集中講義(修得単位数:2単位)です。実習では、グローバル企業の活動を視察するだけでなく、海外で働く日本人技術者・ビジネスパーソンと直接懇談することによって視野を広げ、自らの将来を考えるキャリア学習としての側面も担っています。これまで、2015年度の試行を含めて7回実施されており、100名以上の理工学部生が現地で見聞を深めてきました。
8月27日:アセアンセンターでの講義
8月26日夜に羽田空港に集合し、バンコク・スワンナプーム空港に向かいました。飛行機は8月27日早朝に到着し、空港で各自現金の両替やSIMカードの購入など必要な作業を済ませたあと、市内まで鉄道を利用して移動しました。宿泊先であるFXホテルメトロリンクマッカサンで荷物を預け、そのまま明治大学アセアンセンターにおいて、ウィライラック特任准教授の「タイ語・タイ文化講座」および現地での安全ガイダンスを受講しました。事前学習で学んだ基礎知識を踏まえ、現地での生活に直結する言語表現や文化習慣が紹介され、実習に臨むための準備を整えることができました。
その後、シーナカリンウィロート大学の学生食堂で昼食をとり、深夜便による移動直後であったため、午後は体調管理と宿泊先での生活準備に充てる時間としました。
8月28日:Mitsubishi Motors 訪問
8月29日:シーナカリンウィロート大学生との交流プログラム
シーナカリンウィロート大学(SWU)人文学部日本語学科の学生との交流プログラムとして、「バンコク市内一日ツアー」を実施しました。事前にオンラインで顔合わせを行っていたこともあり、合流後すぐに打ち解けることができました。ツアーでは、著名な寺院などの観光地だけでなく、現地学生が日常的に利用している施設、特に大型のショッピングモールや町の飲食店を訪れ、文化的背景や生活習慣について直接学ぶ機会となりました。
明治大学の学生にとっては、現地の同世代による案内によって異文化を身近に体験できる貴重な機会となり、同時にSWUの学生にとっては、日本語を実践的に活用する場として大きな学習効果を得ることができました。双方にとって、学習と交流が相互に結びついた有意義なプログラムとなりました。
8月30日:タイ文化学習(タイ料理調理体験)
8月31日:エクスカーション
終日、各自が計画を立てたエクスカーションを行いました。学生たちはそれぞれ、市内観光やショッピング、寺院巡りなどを通じて、現地文化に自主的に触れる機会を持ちました。異国での公共交通機関の利用や現地での交渉体験は、日常生活における自立性を養う良い契機となりました。この体験は、渡航後に行われる報告会の材料となっています。教員は、学生の体調や行動状況を確認しつつ、翌日以降の企業訪問に備えて準備を進めました。
9月1日:Toyo Seikan (Thailand) Co., Ltd. 訪問
9月2日:Ajinomoto Thailand & アユタヤフィールドワーク
9月3日:現地特別講義
アセアンセンターにて、午前・午後の二つの講義を受講しました。午前は Pisit Dhamvithee 先生(SWU)による「気候変動と食料安全保障」に関する講義であり、気候変動が農業生産や流通、価格に及ぼす影響や、食料安全保障の4要素(利用可能性・アクセス・利用・安定性)が示されました。さらにタイの現状や日本との共通課題が議論され、学生はグループに分かれて課題解決の方策を議論しました。
午後は Scholars of Sustenance (SOS) Thailand の Tanaporn Oi-isaranukul 氏による、食品廃棄削減の取り組みに関する講義でした。食品ロスと食品廃棄の区別、食品廃棄が環境・経済・社会に及ぼす影響が示され、SOS が展開する食品救済活動や、個人が取り組める廃棄削減の実践方法が紹介されました。
9月4日:最終日
最終日は午前中にアセアンセンターにて成果発表会に向けた準備状況を確認しました。チェックを受けたらウィライラック先生に挨拶をして、夕刻まで自由行動としました。残りわずかなバンコクでの時間を楽しみ、電車でスワンナプーム空港へ移動し、9月5日の早朝に羽田空港に到着しました。
総括
本プログラムを通じて、参加学生はアジア地域、特にタイの歴史・文化・産業構造について理解を深めるとともに、異文化環境における実践的な学びを体験することができました。事前学習では基礎知識の習得に加え、現地での交流を見据えた準備が行われ、渡航前から積極的な学習姿勢が見られました。現地実習では、企業訪問や大学交流を通じて、グローバルな視野を持ちつつ自らの専門分野の意義を考察する姿が印象的でした。また、学生同士の協働や主体的な情報発信を通じて、学びを共有し合うコミュニティが形成されたことも大きな成果です。
事前学習・渡航・事後発表という一連のプロセスが、学生の主体的な学修姿勢や協働力を育成することを改めて確認することができました。今回の実習を契機として、参加者が自らの学びを国際的な文脈に位置づけ、今後の研究活動や将来のキャリア形成に活かしていくことを期待しています。







