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教員からのメッセージ 総合文化教室

総合文化教室

ノイズに耳をそばだてて  鞍田 崇 准教授



 十七歳の春、僕は家出した。午前四時、暗く、まだ肌寒い街をあとにした。行くあてなんてない。ここにはいられないという衝動のまま。「ここ」というのは、家であり、学校であり、日常のいっさいがっさい。つまり、ゲンジツトウヒ。ただ、あのとき飛び出していなかったら、いまの自分はない。こう、なんだろうモヤモヤした感じ、心の中のノイズみたいなもの——たとえば、これが本当にしたいことなのかという問いかけ。そうしたものたちにはじめて、愚直にも正面から向かい合ったのが、この家出だった。それでスッキリしたわけじゃなく、その後の人生では、さらに上手のモヤモヤに潰れそうになったこともあるけれど、結果、いつも自分のノイズに耳をそばだててきた気がする。いまだってそうだ。家出こそしないものの、あたりまえのままにスルーできない何かが僕を駆り立てる。土地へ、自然へ、手仕事へ。ひとのノイズに応じるのは得意ではないけれど、それをないがしろにしない、まだ見ぬ誰かと出会うのを楽しみにしながら。

考えているあなたはステキです  松澤 淳 准教授



 スマートフォンの画面をタップするだけで必要な情報があっという間に手に入る、便利な時代になりました。でも、時には厚い辞書や書物のページをめくりながら、「人」が創造してきたものについて、じっくりと考えを巡らせてみませんか。たとえば、授業やゼミナールの中で、難解な思想を体験したり、外国語を学び異文化に直接ふれたり、映画の世界に遊んだり、小説の一字一句を楽しんだりする。そのあとに、そのとき感じた想いを自分の言葉で表現して発表してみる。ひとつの答えだけを求められることのないそんな時間にこそ、「知る」ことのスリリングな醍醐味や「学ぶ」ことのワクワクするような喜びがあるはずです。そして、そうした思考のトレーニングによって育まれる自由な発想や柔軟なものの見方が、これからみなさんが研究しようと思われている専門領域と深くかかわっていくことになるのです。心も体もしなやかであり続けるために、私たち総合文化教室のメンバーは、みなさんのサポートを惜しむことはありません。自らの可能性をともに広げていきましょう。
世界の豊かさに触れてください  清水 則夫 准教授



 たとえば、インターネットを想像してみてください。そこには数えきれないほど多くの情報が、国境を越えて流れています。ですが、国境はなくとも言葉の壁は消えません。インターネットで何かを調べる場合、日本語のみで検索するよりも、英語も使うほうが、はるかにたくさんの情報を得ることができます。言葉を知るということは、それだけ多くの可能性を手にすることです。また異言語の情報は、それを読むだけで理解できるとは限りません。その背景には、それぞれの文化があります。技術が進歩し、世界が物理的に狭く感じられるように変わっても、世界の多様性は変わらずに存在しています。ここまでは世界の横の広がりについての話です。実際にはそれに加え、歴史という縦の広がりもあります。世界とは、途方もなく豊かなものです。私たち総合文化教室は、みなさんにその豊かさを感じてほしいと願う者の集まりです。私たちと一緒に、世界に触れてみてください。それはきっと、みなさんの生涯の財産となるはずです。
総合文化という料理  井上 善幸 教授
 世界には美味しい料理がたくさんあります。フランス料理、イタリア料理、中華料理など、さまざまです。日本料理もその中のひとつでしょう。皆さんにはぜひそれらをじっくり味わって、違いの分かる(cultured)人になって欲しいと思います。
 では、そのためにはどうすればよいのでしょう? フランスに、イタリアに、中国に、あるいは直接レストランに行けばよい。そう、一応それはその通り。でも、どのレストランが美味しいか分かりますか? またそれができない時はどうすればよいのか? 一番手っ取り早いのは自分で作ることです。そのためには食材を手にいれなければなりません。どんな食材を買えばよいのでしょう? 作り方は分かりますか? それを知るにはどうすればよいか。料理本を買いますか? 多分ね。でもそれを読んでどんな料理になるか、また味まで想像するとなると、なかなか難しい。しかももしそれが外国語で書かれた料理本ならどうしますか? やはり一流のシェフに習ってみたいと思いませんか?
 その時こそ、総合文化のスタッフが手助けできる時です。外国文化という料理にチャレンジする時は外国文化専門のスタッフが、芸術という料理にチャレンジする時は、芸術専門のスタッフが、またスポーツという料理に挑戦する時はスポーツ専門のスタッフが、とびきり美味しくて栄養豊かな、ファストフードでは絶対味わえない料理を皆さんに提供すべく、腕によりをかけて待っています。どこのレストランが美味しいか、どうすれば美味しい料理が作れるのか、その秘訣を伝授しましょう。一度でもこの料理の美味しさに目覚めた人は、自らの庭を耕す(cultivate)必要性を痛感してくれるでしょう。
理工学部