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理工学部の教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)

教育課程の理念

理学とは自然界の基本法則を探求する学問であり、工学とはそれを利用して人類の幸福に資する技術を創出する学問です。しかし同時に、工学を修めた者には、現象論的な理解のみならず、物事の本質を見極める態度が必要となることがあります。また、理学を修めた者には、その知見を実践的に応用していく意欲が求められることがあります。このような考えに基づいた教育を実践するために、理工学部では、理学と工学を融合したカリキュラムを構成し、双方の資質を兼ね備え、科学技術に対する広い教養と専門的な知識を礎として、社会の諸問題に対処できる技術者や研究者を育成することを教育課程の理念としています。

教育課程の構成

1・2年次のカリキュラムは、理系の基礎知識を身につけるための理系基礎科目、教養を身につけるための総合文化ゼミナール、外国語科目、健康・スポーツ学科目が中心となって構成されています。学科によっては専門分野を概観する導入科目、基礎的な専門科目も1・2年次に配置しています。3・4年次は学科専門科目が中心となり、それぞれの学科の特色に合わせて、カリキュラムが構成されています。また、卒業研究・卒業設計を通じて技術者・研究者としての実践力の向上、専門分野における最新理論の理解、さらに、プレゼンテーション能力の開発等を目指します。
人文・社会系の教養を身に付けるための総合文化科目は3・4年次に配置されています。
 

教育課程の特長

カリキュラムの特長として、外国語科目、健康・スポーツ学科目、基礎物理学実験及び基礎化学実験は学科の枠を超えた混合クラスで実施され、他学科の学生と触発しあう機会となっています。外国語科目では、国際化時代にふさわしい視野と教養を身につけるために、実用語学教育も行われています。また、1・2年次に配置された総合文化ゼミナールや、学科専門のゼミナールは、ディスカッションやプレゼンテーションを主体とした少人数ならではの密度の濃い授業を行います。

【電気電子生命学科】
教育課程の理念
電気電子生命学科では、電気電子工学専攻と生命理工学専攻の二専攻制を導入し、理工学部および本学科の学位授与方針(DP)に掲げた能力を修得した人材を養成するために、以下の通りに教育課程を編成し、実践します。

教育課程の構成・教育課程の特長
1~2年次では、教養科目として、国際社会で必須となる「英語コミュニケーション」、「英語リーディング」および第二外国語科目などの語学力を身につけます。両専攻共通の必修科目として、電気電子工学の基礎となる「電気電子生命概論」、「電気磁気学」、「電気回路」、「電子回路」、「コンピュータシミュレーション」、「情報処理」を学びます。さらに、生命理工学専攻では、1~2年次に必修科目として、生命理工学の基礎となる「生命科学」、「分子生物学」、「生理学」を少人数クラスで学びます。3~4年次になると、幅広い知識と専門性を養うために、電気電子工学専攻では、「環境・エネルギー」、「新素材・デバイス・ナノテクノロジー」、「通信ネットワーク」、「情報制御システム」の4分野にわたる専門科目から、複数の分野にまたがる基幹的な科目と特定の分野の先端性・応用性の高い科目を学びます。
生命理工学専攻では、遺伝子や脳を対象とした先端性の高い科目を学ぶと同時に、新しい医療技術および健康科学の分野で中核的役割を果たす人材を養うために、「医用生体計測」、「先進医療技術」などの学際的視野を要する専門科目を学びます。
実験能力、プレゼンテーション能力を養うために、1~3年の各年次に実験科目、1~2年次にプログラミング科目を設置しています。さらに、3~4年次の「ゼミナール」および「卒業研究」を通して、実践力やリーダーシップ、多角的な見方ができる能力、問題発見・分析・解決力、チャレンジ精神などを養います。
様々な分野と協働する能力を養うために、1年次には他学科との混合クラスにおいて共同で取り組む「基礎物理学実験」および「基礎化学実験」などの必修科目が配置され、4年次の「卒業研究」では、国内外の大学・企業との共同研究に参加し、研究活動および情報交換等を行っています。また、高度な語学・コミュニケーション能力を養うために、海外の協定校への交換留学生の派遣や受入れ制度があります。

【機械工学科】
教育課程の理念
自立した創造的技術者となれる人材を養成するため、以下の教育課程を編成し、実施しています。さらに、優れた技術者・研究者育成のための学習・教育目標を超えた幅広く高度な学習・研究の機会を提供します。

教育課程の構成・教育課程の特長
機械工学科における科目は下記のような特色を持っており、全ての学生が学位授与方針で定める学習教育目標を卒業までに達成できる課程の構成となっております。
(1) 外国語科目、健康・スポーツ学(1~2年次)において多面的に物事を見て総合的に考えられる素養(A-1 教養)を習得します。
(2) 技術者倫理(2年次)において科学技術を用いて問題解決や価値創造を行う技術者の備えるべき倫理(A-2 技術者倫理)を習得します。
(3) 基礎微分積分、基礎力学1、基礎電気回路1、情報処理実習等の工学基礎必修科目(1~2年次)において理系の基礎概念・知識と実験実習を通した実物感覚を習得し、工学課題に適用できる能力(B-1 工学基礎)を習得します。
(4) 基礎機械工学1および基礎機械工学2(1年次)において技術者倫理(A-2)の教育を行う他、学生が主体となって(C-1 主体性)自ら問題設定し(C-2 デザイン能力)、チームで調査に取り組み(C-4 チームワーク能力)、調査内容を発表(C-5 表現・コミュニケーション能力)する実習を実施します。
(5) 機械力学・演習、材料力学、流れ学・演習、熱力学・演習、機械要素設計等の機械専門必修科目(2~3年次)において機械系4力学、機械設計をベースとした機械工学の専門知識・技術(B-2 機械専門)を習得します。
(6) 機械工学実験Aおよび機械工学実験B(2~3年次)において実験を通した実物感覚を習得(B-1 工学基礎)する他、チームで実験に取り組むチームワーク能力(C-4)、チームでプロジェクトを遂行するための表現・コミュニケーション能力(C-5)、レポートを計画的に作成するマネジメント能力(C-3)を養成します。
(7) 基礎機械製図、機械設計製図Aおよび機械設計製図B、メカトロニクス実習、機械システム設計実習(2~3年次)では、レポート、図面作成、成果報告とそのフィードバックを経験することによりマネジメント能力(C-3)を養成する他、設計および機械とシステムに関する機械工学の専門知識・技術(B-2 機械専門)を習得します。
(8) ゼミナール1、2および卒業研究1、2(4年次)において学生が主体となって調査研究を進める主体性(C-1)、問題設定とその解決策を創出できるデザイン能力(C-2)、論文の執筆に計画的に取り組むマネジメント能力(C-3)、論文の執筆と発表による表現・コミュニケーション能力(C-5)を養成します。


機械情報工学科】
教育課程の理念
学習・教育目標(学位授与方針)を達成するために、機械関連分野のみならず、計測・制御において電気関連内容を含む科目を、また、情報を分析して有効活用できるように情報処理分野の科目を設置します。

教育課程の構成・教育課程の特長
1~2年次における「材料と構造」、「運動と振動」、「計測・制御」、「情報・数理」に属する演習付き科目は、基礎学力を身につけるためのものです。また、2~3年次に配置された「総合デザイン力育成」の「機械製図」、「設計実習」、「工学実験」などの実技科目は、感性とエンジニアリングセンスを磨く上で格好の場を提供し、3~4年次の「ゼミナール」、「卒業研究」では、それまでに得た知識をもとに、具体的問題を解決する手法を個々に探求して、技術に触れることあるいは研究することの楽しさ、厳しさを実感しながら柔軟な思考力とプレゼンテーション能力を磨く工夫をします。3年秋学期の実験の時間を使って研究室を単位としたチームを組み、与えられた課題を競い合うことで、チームで作業することを体験させ、エンジニアリングデザインなどの素養を学びます。


【建築学科】

教育課程の理念
建築学科では、技術に関する知識や優れたデザイン能力を有する人材、分野横断的な視点を持ち様々な問題に柔軟に対応できる人材、国際感覚に優れた人材を育成するために、以下の教育課程を編成し、実施しています。

教育課程の構成・教育課程の特長
(A)
社会性と幅広い視野
地域および地球的視点に立ち、人類の文化、社会や自然の多様性に対する視野を広げることを意図して、広く教養を身につけるための総合文化科目を設置しています。また、建築からはじまり、まちづくりや地球環境に至る幅広い視野の重要性を知るため、建築学全般を扱う概論科目を設置しています。
(B)
倫理感と構想力
建築設計者および建築技術者としての責任と役割を知り、工学の基礎となる数学や自然科学に基づいた明確な倫理感と豊かな構想力の基礎を身につけることを意図して理系基礎科目を設置しています。また、建築に係わる実務を行う上での適切な倫理観や社会との関わりについて多面的に学ぶための学科専門科目を設置しています。
(C)
技術力とデザイン力
工学基礎・専門知識を活用し、与えられた制約条件のもとで、問題を設定して解決するための、技術力とデザイン力の基礎を身につけることを意図して、設計演習科目を設置しています。
(D)
建築の専門知識(総合力・専門力)
建築に関する総合的な知識を身につけさせることを意図して、各専門分野の概論科目を設置しています。また、建築に関する基礎的な技術・技法を理解することを意図して、設計演習科目と連携させるかたちで、必修および選択必修の学科専門科目を設置しています。
(E)
建築の専門知識を応用する能力(創造力)
建築技術に関する専門知識と、それを自ら応用する力を身につけさせることを意図して、卒業研究・卒業設計を設置しています。卒業研究・卒業設計では、各専門分野の研究室に所属して研究・設計指導を受け、卒業研究または卒業設計を行います。
(F)
コミュニケーション能力とコーディネート能力(対話力と調整力)
多くの人々との関わりを持ちながら建築・都市空間を創り上げていくためのコミュニケーション能力とコーディネート能力の基礎を習得させることを意図して、ゼミナール科目を設置しています。
(G)
国際力
グローバルな視点の重要性を知り、国際的な視野を身につけさせることを意図して、外国語科目を設置しています。


【応用化学科】
教育課程の理念
化学は、数学や物理学とともに、自然科学における最も基礎的な学問の一つです。その対象範囲は多岐にわたり、生命現象や宇宙における物質進化などの自然現象から、分子設計や材料創製を可能にする最先端科学技術まで含みます。応用化学科では、「フラスコからコンピューターまで操れる研究者・技術者の育成」をキャッチフレーズとし、理学と工学が融合した幅広い化学領域を網羅できる、講義と化学情報実験、そして応用化学実験が密接に連携した三位一体のカリキュラムにより、充実した学びの場を提供します。これにより、化学の基礎から応用までの広範な知識と実験遂行能力を修得させるとともに、問題解決・課題探求能力や主体的な実行力を備えた人材を育成します。

教育課程の構成・教育課程の特長
1・2年次のカリキュラムでは、理系の基礎知識を身につけるための「理系基礎科目」、多様性や異文化への理解を深めるための「総合文化科目」、国際社会で活躍するために必須の語学力を修得するための「外国語科目」を配置しています。また、広範な化学分野を概観する「応用化学概論1」のほか、専門科目の基礎となる必修科目として「基礎無機化学」、「基礎有機化学」、「基礎物理化学」および「基礎分析化学」を配置しています。さらに、応用化学実験および化学情報実験の入門として「応用化学実習」を配置しています。これらの講義・演習・実験科目を通じて、化学実験遂行能力と深い考察力を涵養し、課題探求と問題解決に必要な能力を育成します。2年次以降の講義は、学科専門科目が中心になります。応用化学科のカリキュラムでは、広範な化学の基礎となる「無機化学」・「有機化学」・「物理化学」を三つの主要な専門科目としています。加えて、「分析化学」、「生物化学」、「高分子化学」、「化学工学」を専門科目として設置しています。応用化学科では、これらの基礎科目と専門科目から構成される、広範な「化学」分野の科目を自らで選択して履修することができます。また、「最先端化学」では、多様な化学分野の研究者・技術者を講師として最先端の研究を紹介するとともに、グループワークを通じてその理解を深めることを目標としています。さらに、3年次の必修科目である「応用化学概論2」では、主に応用化学科(工業化学科)卒業生である研究者・技術者を講師として、企業での研究開発例などを紹介して化学と社会の結び付きを講義し、幅広い視野と深い思考力を育むことを目標としています。
カリキュラムは実験科目にも重点をおいて構成されており、1年次の「基礎化学実験」と「基礎物理学実験」では理工系の基礎となる実験遂行能力を育み、2・3年次の「化学情報実験」と「応用化学実験」ではより実践的な計算科学と化学実験技術を習得します。なお、「化学情報実験」では計算機シミュレーションにより、講義で学習した事象や理論、分子構造などを原子・分子レベルのミクロな視点から捉えることができます。一方、「応用化学実験」では、化学分野の様々な専門的な実験を行い、基本的な実験操作を習得するとともに、「講義」や「化学情報実験」で学んだ事象や理論を実験に基づいて理解し、科学者に必要な化学実験遂行能力を養います。
3年次までに習得した幅広い化学の知識と実験技術を基盤に、4年次の「卒業研究」と「ゼミナール」では科学者としての実践力の養成、専門分野における最先端技術と理論の理解、さらにはプレゼンテーション能力の向上などを目指します。
このような「講義」、「化学情報実験」そして「応用化学実験」が連携した三位一体のカリキュラムを基盤として、化学の知識、技術、そして研究力を基礎から応用まで体系的に修得させて、将来の化学産業の一翼を担う人材を育成します。

【情報科学科】
教育課程の理念
情報科学科では、学問としての情報科学をベースとして、現代及び未来の社会で応用できる情報技術を幅広く習得できるカリキュラムを設置しています。国際的に認知された標準カリキュラムに準じた科目での専門知識・能力の育成に加えて、高度情報化社会において応用可能な専門知識、及び、それらに関する専門的能力を養います。特に、アルゴリズムや情報理論といった基礎的科目に加えて、プログラミングや、コンピュータシステムの設計・構築・評価などの実習・演習を通して、高度な論理的な思考能力、情報科学に関する専門知識を活用できる能力及び、それらを検証する能力、及び、情報科学に関連する問題点を発見し、分析し、それらを解決する能力を養います。

教育課程の構成・教育課程の特長
3年次以降では、情報科学の学術研究テーマごとに設置されている研究室に配属され、研究テーマに即した少人数教育、及び、研究活動を通して、情報科学及び情報技術に関することへの調査能力、及び、それらを検証する能力、情報科学に関連する問題点を発見し、分析し、それらを解決する能力、及び、将来の技術社会における新たな課題に挑戦する能力を養います。また、研究活動における技術的な討論、議論などを通して、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、批判的思考力、及び、多角的な見方ができる能力を養います。また、総合文化科目を通して教養を高め、国際交流制度により、異文化を理解する力を養います。

【数学科】
教育課程の構成・教育課程の特長

(1) 1年次・2年次では、数学の全ての分野の基礎となる科目を学びます。3年次からは、代数学、幾何学、解析学の各分野の専門科目を学びます。講義科目の多くには演習科目が併設されており、講義で学んだ理論をより深く理解し、それらを応用する論理的思考力を養うことができるようになっています。
(2)
 1年次春学期には、少人数のグループに分かれてセミナー形式で行われる授業「ゼミナールA」が設置されています。学生が発表することにより、他人に分かりやすく説明する能力や他人と議論するためのコミュニケーション能力を養います。
(3)
 3年次秋学期の「ゼミナールB」では各研究室に配属され、より専門的な内容を学びます。4年次の「卒業研究1・2」も原則として「ゼミナールB」と同じ研究室で行われます。学生が主体的に取り組むことにより、コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力に加えて、自ら課題を発見し、それを解決する能力を養います。
(4)
 学科専門科目の中には、計算機・情報科学分野や数理科学の科目も多く設置されています。また、物理学や化学の実験を含む理系基礎科目、外国語、総合文化科目などが必修となっており、幅広い教養を身に付けられるようになっています。

【物理学科】
教育課程の構成・教育課程の特長
理学全般の素養および専門分野における基本的な知識・能力の修得と実践的能力を身につけるために、全学共通教育科目、専門教育科目やその他の必要科目を体系的に編成し、講義・演習・実験等を適切に組み合わせた授業を開講しています。
物理学の一般原理と基本的実験事実との関連を確実に学習し、基礎を理解した上で応用力を養うという目標を達成するため、主要な講義科目には逐一演習を付随させています。様々な演習を行うことで、問題を解決するための本質を見抜き、適切な手段を構築する能力を磨きます。また、実験を必修科目として座学と実践の一体化をはかっています。座学による確かな知識に基づき多種多様な実験を行うことで、問題解決に適切な手段を身に付けます。実験で得られたデータを適切に整理し、研究成果を伝える能力を高めます。物理学の諸分野を概観するための専門科目および工学的素養のための選択科目も配置し、広い視野と自主的発見の機会を持てるように配慮しています。

教育課程の構成・教育課程の特長

1、2年次には、全学共通教育科目(総合文化、健康・スポーツ学、外国語、理系基礎科目)の履修により、幅広い知識・教養及び国際性と専門教育科目を学ぶための基本を身につけます。これらと平行して1年次では、物理学演習、電磁気学などの基礎的な専門科目、2年次からは力学、電磁気学、物理数学、熱力学、物理学実験などの専門科目を、3年次には量子力学、統計力学など現代の理工学分野の根底を支える科目とより専門的な物理学実験を学ぶことにより、物理学の専門的知識を修得します。主要な講義科目には演習が付随しており、知識の実践的な活用能力を身につけます。また、専門選択科目の授業を通じて、高度な専門性や専門分野における倫理観等を身につけます。4年次の卒業研究およびゼミナールを通じて、実際の研究を体験し、大学院あるいは社会において、研究・開発を担い得る最先端の専門的な能力を身につけます。
各々の授業に対してレポート・試験等を課し、一定の成績を修めた学生に対して単位を認定しています。

理工学部