理工学部機械工学科の黒田洋司准教授(ロボット工学研究室)らの研究グループがこのほど、無人放射線観測ロボット「CERES」(=Continuous Environmental Radioactive Emission Surveyor)を開発し、2012年2月21日に神奈川県産業技術センターでの初期動作試験を成功させました。
CERESは環境放射線の移動観測ができる無人ロボット走行体システムで、空間放射線量や観測地の画像データ,気象データを収集し、一定間隔でサーバーに送信します。
携帯回線を利用した通信機構を持ち、自律的にインターネットに接続してGPS座標や方位角などの情報を送信できるため、パソコンや携帯端末での遠隔操作が可能です。走行時に障害物を自動的に回避する機能も備えており、活動に必要なエネルギーは大型のソーラーセルとバッテリーを搭載することで全て自己給電できるため、長期間にわたる独力での放射線観測活動を実現しています。
黒田准教授はこれまでもJAXA(宇宙航空研究開発機構)の協力研究員として宇宙ロボットの研究に携わっており、小惑星探査機「はやぶさ」に搭載されたロボット「ミネルバ」の研究開発に貢献。今回のCERESの開発に当たっては、これらの研究成果も活用されました。
黒田准教授は今後、同システムのハードウェアの信頼性を高める実証試験を繰り返し、年内には福島第一原子力発電所20km圏内での長期モニタリング開始を目指したいとしています。被災地の本格的な復興に向け、一日も早いCERESの本格運用が期待されます。
なお、この取り組みは広くマスコミにも注目されています。
▼日刊工業新聞“ロボナブル”
「明大の黒田准教授ら、長期運用が可能な半自律の放射線観測ロボ公開」
▼東京新聞
高放射線観測用も ロボット高所検査用など実証実験:神奈川