Go Forward

理工学部

【理工学部】山本俊哉教授が日本不動産学会賞と都市住宅学会賞をダブル受賞

2021年12月13日
明治大学 理工学部事務室

理工学部建築学科の山本俊哉教授が2021年度日本不動産学会賞・著作賞(学術部門)と2021年度都市住宅学会賞・著作賞を受賞し, それぞれ1127日と1211日に開催された各学会大会で表彰されました。

 

 受賞した研究成果は、東日本大震災において甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市を対象に震災直後から10年間に渡る応急仮設住宅の暮らしを実証的かつ学際的に研究した学術書『仮設住宅その10-陸前高田における被災者の暮らし-』 (御茶の水書房, 202012月)です。本書は, 仮設住宅の建築性能, 仮設コミュニティ, 健康状態の変化, 被災者のレジリエンス, ボランティアやNPOなどによる外部支援など, 被災者の仮設住宅における暮らしそのものを多角的に捉え, 住宅再建と地域再生を目指した被災者自身の不動産の取り扱いや土地利用と資産をめぐる葛藤を即地的に描き出しました。そして,仮設住宅を単に一時的な生活の場としての居住空間を問題にするだけでなく, 地域再生の大きなプログラムやプロセスの一部としての仮設住まいの段階における居住と住宅再建に向けた被災者の主体的な活動, それを支える不動産や都市計画などの社会システムについて, 豊富かつ有用なデータをもとに, そのあり方を問うています。

 共著者は、山本俊哉教授とともに震災直後から陸前高田市内の被災者を支援してきた研究者と実務者であり, 藤賀雅人(工学院大学建築学部准教授)と森脇環帆(草苑保育専門学校専任講師,明治大学客員研究員)は本学大学院理工学研究科博士課程の在籍当時から山本俊哉研究室の学生・大学院生とともに陸前高田市の仮設住宅や復興街づくりの調査研究を重ねてきました。

 

 東日本大震災に関連する書籍は多数あるが, 専門分野を超えた学際的な研究体制で特定のフィールドを対象とした調査をベースにしたものは決して多くありません。本書は, 仮設住宅生活が長期に及んだ大規模な復興事業について他市町村と比較・検証してその問題と課題をあぶり出しており, 丹念な調査・活動によって蓄積された研究成果の資料的価値だけでなく, 今後の復興計画のあり方を論じる上で学術研究上有用な知見を明らかにしていることも高く評価されました。

 なお, 本書では, 全国各地に広がっている「逃げ地図」づくりワークショップが仮設住宅生活期に住宅再建と地域再生に向けた被災者主体の取り組みとして陸前高田市内各地で取り組まれたことが紹介されており, 特に広田町ではアートと防災教育の要素も加えたことで, 著者グループが震災直後から住宅再建と地域再生に向けて継続的に支援してきた田谷地区集団移転協議会が総務省の防災まちづくり大賞・消防庁長官賞を受賞するなど, 研究だけにとどまらない被災地支援活動も高く評価されていることも付け加えておきます。 

 

理工学部