データ化学工学研究室(金子弘昌専任准教授主宰)から発表された論文が、国際学術雑誌 Journal of Chemical Information and Modeling における Volume 63, Issue 18 (2023) の表紙絵を飾りました。
高活性な触媒は多くの産業分野で求められており、その開発にかかるコストや期間を最小限に抑えるために、機械学習を用いた触媒開発が注目されています。本研究では、Buchwald-Hartwig Type Cross-Coupling (BHCC) 反応と Suzuki-Miyaura Type Cross-Coupling (SMCC) 反応が協奏的に進行する反応系の触媒に着目しました。BHCC 反応の生成物と SMCC 反応の生成物の収率を正確に予測するためには、すべての実験条件を考慮した数理モデルの構築が不可欠です。本研究の目的は、二つの反応が同時に起こる反応系において、すべての実験条件を考慮した説明変数 x を確立し、目標収率と新規反応の開発を達成する触媒を設計することです。確立した x とベイズ最適化を組み合わせて、新規触媒の設計と反応選択性の向上を目指しました。さらに、本研究の触媒設計により、これまで Ni や Pd 触媒以外の触媒では反応しなかった反応系において、Cu、Rh、Pt 触媒を用いた新しい反応の開拓に成功しました。