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理工学部

【理工学部 応用化学科】データ化学工学研究室(金子弘昌研究室)から発表された論文が国際学術雑誌ACS Omegaの表紙絵に選出されました

2023年08月08日
明治大学 理工学部事務室

データ化学工学研究室(金子弘昌専任准教授主宰)から発表された論文が、国際学術雑誌 ACS Omega における Volume 8, Issue 30 (2023) の表紙絵を飾りました。

血中コレステロールが増えると血管内膜にコレステロールが蓄積し、動脈硬化や冠動脈疾患のリスクを増大させます。血中コレステロール濃度を改善するためには、コレステロール合成に不可欠な酵素を阻害する薬剤を使用することが有効です。スタチン系薬は、コレステロール合成の律速酵素である HMG-CoA 還元酵素 (HMGR) を阻害することから、高コレステロール血症の治療に用いられています。スタチン系薬は肝臓に移行して効果を発揮することが知られており、有機アニオン輸送ポリペプチド 1B1 (OATP1B1) によって肝臓に取り込まれます。そこで、高い HMGR 阻害活性を有し、OATP1B1 との親和性が高い化合物であれば、肝臓への選択性が高まり副作用の少ない優れた高コレステロール血症の新しい治療薬になるといえます。本研究では、阻害活性と肝臓選択性がともに高い新しい高コレステロール血症の治療薬の化学構造を提案するために、HMGR 阻害活性予測モデルと OATP1B1 親和性予測モデルを機械学習により構築しました。構築した2つの予測モデルに新たな化学構造を入力し、治療薬になる候補化合物の探索を行ったところ、最も新しいスタチン系薬であるロスバスタチンよりも、HMGR 阻害活性が高く、OATP1B1 親和性が高い化合物を発見することに成功しました。さらに、HMGR 阻害活性が高いスタチン系薬の共通構造を有さない新規な化学構造も確認されました。
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